ABSTRACT 2174(P10-6)
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癌組織中SCC抗原の分子多様性の解析:縄田修吾1、村上明弘1、坂口優子1、平林 啓1、江本智子1、末広 寛1、馬屋原健司1、尾縣秀信1、住浪義則1、沼 文隆1、中村和行2、加藤 紘1(山口大・医・1産婦、21生化)

Analysis of Heterogeneity of SCC antigen in cancer tissue.: Shugo NAWATA1, Akihiro MURAKAMI1, Yuko SAKAGUCHI1, Kei HIRABAYASHI1, Tomoko EMOTO1, Yutaka SUEHIRO1, Kenji UMAYAHARA1, Hidenobu OGATA1, Yoshinori SUMINAMI1, Fumitaka NUMA1, Kazuyuki NAKAMURA2 and Hiroshi KATO1 (1Dept. Obstet. Gynec., 21st Dept.Biochem., Yamaguchi Univ. Sch. Med.)

【目的】SCC抗原(以下,SCC)はserpin familyに属するMW約45.000の蛋白質であるが,カラム等電点電気泳動法によりいくつかの亜分画に分かれる.近年,SCCをコードする遺伝子が2個存在し,高い相同性を有するSCC-1,SCC-2を各々発現することが報告された.今回,癌組織中SCCの分子多様性の成因について解析した.
【方法】 大腸菌で発現させたrSCC-1,rSCC-2及び癌組織抽出液を,2次元電気泳動法(2-DE),immunoblottingにより解析した.
【結果】1)大腸菌で発現させたrSCC-2は,rSCC-1に比べ,酸性側の等電点を有し,免疫染色では弱く染色された.2)rSCC-1はcysteine proteaseであるpapainを阻害する際,SDS-PAGE上MW約40.000の特異的バンドを生じたが,rSCC-2では同様の相互作用は認められなかった.3)癌組織抽出液の2-DEでは,組織中SCCは等電点6.4から5.5まで数個のスポットを示した.このうち,等電点5.7から5.5のスポットは,免疫染色では他のスポットに比べ弱く検出され,papainを反応させた癌組織抽出液の2-DEでも,これらのSCC亜分画には特に変化を認めなかった.
【考察】癌組織中SCCのうち等電点5.7から5.5のスポットは,SCC-2由来の亜分画でSCC-1とは異なる生物活性を有するものと考えられた.