ABSTRACT 2218(P12-1)
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がん細胞形態正常化誘導物質Oxamflatinはヒストン脱アセチル化酵素を阻害する:金 永培、杉田憲治、吉田 稔、堀之内末治東大・院・応生工、塩野義研究所)

Oxamflatin, an inducer of morphological reversion of cancer cells, inhibits histone deacetylase : Young Bae KIM1, Kenji SUGITA2, Minoru YOSHIDA1, Sueharu Horinouchi1 (1Dept. of Biotechnol., The Univ. of Tokyo, 2Shionogi Res. Inst., Shionogi & Co., Ltd.)

様々ながん遺伝子によりトランスフォームした細胞の形態を正常化させる物質として得られたoxamflatin(OF)の抗腫瘍活性と作用機構を解析した。OFはで固形がん細胞や多剤耐性細胞株を含む多くのがん細胞の増殖をG1期で停止させるとともに、in vivoでB16メラノーマに対して抗腫瘍効果を示した。OFの作用機構はcAMP応答エレメント(CRE)を介したFibronectin遺伝子の活性化が示唆されているが、その詳細は不明である。そこでRT-PCRとWestern法を用いて、OF処理による各種細胞周期制御因子の発現の変化を解析したところ、p21WAF1/Cip1とgelsolinの発現誘導、サイクリンD1の発現抑制を見いだした。また、外来遺伝子導入においてもCMVプロモーターの強力な活性化を誘導した。このような作用はヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤トリコスタチンAと類似していた。そこでOFのHDACに対する作用を解析し、in vitroでHDACを強く阻害すること(IC50 = 14.9 nM)、細胞内に高アセチル化ヒストンを蓄積させることを明らかにした。以上の結果はHDACの阻害が抗腫瘍効果につながることを示している。