ABSTRACT 2260(P12-4)
白金錯体 Nedaplatin とトポ I 阻害剤 Irinotecanの併用による相乗作用:官澤文彦1,須波敏彦1,西條長宏2,吉岡貴幸3,西尾和人1(1国立がんセ・研・薬効試験,2国立がんセ・中央病,3塩野義製薬(株)・創薬第二研 )
In vitro synergistic interaction between cisplatin analog, Nedaplatin, and topoisomerase I inhibitor, Irinotecan: Fumihiko KANZAWA1,Toshihiko SUNAMI1,Nagahiro SAIJO2,Takayuki YOSHIOKA3,Kazuto NISHIO1,(1Pharmacol. Div., Natl Cancer Center Res. Inst.,2Natl. Cancer Ctr. Hosp.,3Shionogi & Co, Ltd, Dis. Res. Lab. II)
[目的]nedaplatin (NDP) は、cisplatin (CDDP) に比して抗腫瘍活性が強く、また腎毒性の低い第二世代白金錯体で、臨床でも種々のがんに対する効果が認められている。肺がんに対する併用化学療法としては、CDDP とetoposide (ETP) との併用による相乗効果が報告されている。本研究では、NDP と ETP およびその他の制がん剤との併用効果をヒト肺がん細胞の in vitro 系を用いて検討した。[方法]小細胞肺がん細胞 SBC-3 および非小細胞肺がん細胞 PC-14の細胞増殖に対する、NDPとETP、irinotecan (CPT-11)、 doxorubicin (ADM)、vindesine (VDS) と同時接触下における併用効果を three-dimensional (3-D) 法により比較検討した。[結果および結語]小細胞肺がん細胞 SBC-3 においてCDDPとETPの併用では、殆どの使用薬剤濃度において相加以上の併用効果がみられ、とくに両薬剤高濃度の組合せでは統計学的有意性のある相乗作用が認められた。CDDPに代えてNDPとトポII阻害剤ETPとの併用では同様の傾向を認めるも相加であった。同じトポII阻害剤のADMとの併用においても相加作用を示した。VDSとの併用においては拮抗作用を示した。一方、トポ I 阻害剤 CPT-11 との併用においては全濃度領域において相加以上の効果がみられ、とくにNDPの 0.05microg/ml以下の比較的低い濃度では強い相乗作用が認められた。NDPとCPT-11の相乗作用は非小細胞肺がん細胞 PC-14 においても同様強い相乗作用が確認されたことから、本組合せの肺がん化学療法への応用の可能性が示唆された。