ABSTRACT 2261(P12-4)
抗EGF受容体(EGFR)抗体のヒト扁平上皮癌株A431に対するシスプラチン(CDDP)感受性増強作用-cdc25C phosphataseの関与について:大森 亨1、2、3、青 暢子1、足立 満2、黒木登志夫1、Carlos L. Arteaga3(1昭和大・腫瘍分子生物研、2昭和大・医・第一内科、3ヴァンダービルト大・がんセ)
Anti-epidermal growth factor receptor antibodies down regulate cdc25C phosphatase and enhance cisplatin-induced toxicity in A431 human squamous cancer cells: Tohru OHMORI1,2,3, Yoko AO1, Toshio KUROKI1, Carlos L ARTEAGA3(1Inst. Mol. Oncol., Showa Univ., 21st Int. Med., Showa Univ., 3Cancer Ctr, Vanderbilt Univ.)
抗EGFR抗体(528)はEGFR発現癌細胞に対して、CDDP感受性増強作用を有する。CDDPはG2/M arrestからapoptosisを誘導することから、我々はdouble thymidine block法による細胞周期同期化ヒト扁平上皮癌細胞株A431を用いてG2/M細胞周期調節に及ぼす528抗体の作用について検討した。コロニー法による感受性試験で、同期化A431細胞は5μg/mlの528抗体により約10倍CDDPに対して高感受性となった。フローサイトメトリーによる検討では、併用群でCDDP単独に対してS期およびG2/M arrestの延長が認められた。G2細胞周期調節因子の検討では、1)528は単独でも軽度のcdc2キナーゼ抑制作用を有し、CDDPの同キナーゼ抑制作用を増強する。2)528抗体によりCDDPのcdc2キナーゼ脱リン酸化抑制作用が増強される。3)528抗体接触によりcdc25C蛋白発現の一過性の減少を認め、cyclin B1,wee-1,cdc25Bでは変化を認めない等の結果が得られた。以上のことから528抗体のCDDP感受性増強効果に同抗体のcdc25C phosphatase抑制作用が関与していることが示唆された。