ABSTRACT 2262(P12-5)
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採取後の経過時間による大腸癌組織Dihydropyrimidine Dehydrogenase[DPD]活性値の変動:貞廣荘太郎, 石川健二, 鈴木俊之, 徳永信弘, 向井正哉, 田島知郎, 幕内博康(東海大・医・外)

Changes of dihydropyrimidine dehydrogenase activity in resected specimen of colorecatl cancer: Sotaro SADAHIRO, Kenji ISHIKAWA, Toshiyuki SUZUKI, Nobuhiro TOKUNAGA, Masaya MUKAI, Tomoo TAJIMA, Hiroyasu MAKUUCHI (Dep. of Surg., Tokai Univ., Schol. of Med.)

DPDは5-Fluorouracil[5-FU]分解の律速酵素であり, 投与した5-FUの80%がDPDにより分解されると報告されている. DPDのtumor/normal比は5-FUが奏功した症例では低いと報告され, 5-FUが代表的な化学療法剤である大腸癌ではDPD活性値は重要である. [目的]現在まで調査されていない, 採取後の経過時間による大腸癌組織DPD活性値の変動を明らかにする. [対象・方法] 16例の切除直後の大腸癌手術標本の腫瘍部から, 均等に 6ヶ所組織を採取し, 室温放置した. 各々0, 15, 30, 60 ,120, 180分後-80℃に保存した. DPD活性値の測定はMcMurroughらの方法に準じた. [結果] DPD活性値は(1)採取直後には20.0- 156.5 pmol/mg/minであった. (2)採取からの経過時間により有意の変化は認められなかった. (3)時間経過による変動の度合い(%CV)は 19- 58%, 個体間のばらつきの度合いは 41- 69%で時間経過による変動に比し, 個体間のばらつきの方が大きかった. (4)採取後180分までは, どの時点においても個体間のばらつきの度合いはほぼ同等であった. [まとめ] 大腸癌組織において, DPD活性値の測定に用いる組織の採取に際し, 切除からの経過時間は個体差を凌駕するほどの影響を及ぼさなかった.