ABSTRACT 2265(P12-5)
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術前5-FU投与大腸癌における組織内Thymidylate synthase (TS) 発現の意義:山根成之,牧野正人,辻谷俊一,前田迪郎,貝原信明(鳥取大・第1外科)

The significance of the expression of Thymidylate synthase (TS) in human colorectal cancer cells after preoperative treatment with 5-fluorouracil: Nariyuki YAMANE, Masato MAKINO, Shunichi TSUJITANI, Michio MAETA, Nobuaki KAIBARA (Dept. of Surg. I, Tottori Univ.)

[目的] 術前5-FU投与進行大腸癌症例において組織内Thymidylate synthase (TS) 発現について検討した.[対象,方法] 対象症例は5-FU非投与群 (n=30),術前5-FU持続静脈内投与 (500mg/body/day);3日群 (n=11),5日群 (n=11),7日群 (n=9),10日群 (n=8) の5群に分けた.TSの発現はホルマリン固定標本よりTS 一次抗体を用いて免疫染色にて判定した.1) 5-FU投与期間別にTS発現率を比較した.2) 術前5-FU投与群 (n= 39) においてホルマリン固定標本よりApoptotic index (AI),Ki-67 labeling index (KI)を,また新鮮切除標本より組織内5-FU濃度,TS total,TS free,TS阻害率を調べ,TS陽性例と陰性例に分け,それぞれについて検討した.[結果] 1) TS陽性例は5-FU非投与群では10例 (33%)で,5-FU投与群では3日,5日群と増加し,7日 群では7例 (78%)と非投与群に比し有意に増加を示した(p< 0.05).2)術前5-FU投与群において,AIとの関連では,TS陽性例のAI (15.5±3.4%) はTS陰性例 (13.5±3.3%) に比し有意に高値を示した(p<0.05). また,TS阻害率との関連では,TS陽性例のTS阻害率 (53.9±10.2%) はTS陰性例 (45.0±15.7 %) に比し有意に高値を示した(p<0.05).TS totalは,TS陽性例で高い傾向を示した.KI,5-FU濃度ではTS 陽性例と陰性例では差は認められなかった.[結語] 1) 術前5-FU投与により大腸癌組織内TS発現率およびApoptosis増加が認められた.2) TS陽性例は陰性例に比し5-FUの感受性が高いことが推察され,大腸癌におけるTS発現 は抗癌剤感受性の指標となる可能性が示唆された.