ABSTRACT 2268(P12-5)
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胃癌における Thymidylate Synthase 発現の臨床病理学的意義:小西伊智郎1,佐藤尚喜2,山口由美1,辻谷俊一1,池口正英1,前田迪郎1,貝原信明11鳥取大・医・第一外,2済生会江津総合病院・外)

A clinical significance of thymidylate synthase for gastric cancer : Ichirou KONISHI1,Naoki SATO2,Yumi YAMAGUCHI1,Shunichi TSUJITANI1,Masahide IKEGUCHI1,Michio MAETA1,Nobuaki KAIBARA1(11st. Dept. of Surgery Faculty of Medicine Tottori Univercity,2Dept. of Surgery Saiseikai Goutsu Hospital)

(目的)胃癌組織における Thymidylate Synthase (TS) の発現とその臨床病理学的意義を検討する。(対象と方法)当科において1976年から1992年に切除された漿膜浸潤胃癌症例161例についてホルマリン固定標本を用い、免疫染色法(抗体は大鵬薬品より供与)によりTS 発現を調べ臨床病理学因子と比較検討した。(結果)免疫染色におけるTS 陽性率は25.5%であった。臨床病理学的因子との比較では、TS 発現は組織分化度とリンパ節転移について有為な相関がみられた。生存率について検討すると、TS 陰性例では陽性例に比べて有為に(p<0.01)累積生存率が高かった。また比例ハザードモデルを用いた多変量解析では、ハザード比は1.75 (p=0.039)であった。術後の5-FU をベースとした制癌剤剤投与の有無で2群に分けて検討すると、制癌剤非投与群ではTS 陽性例と陰性例の間で累積生存率に差はみられなかったが、制癌剤投与群ではTS 陽性例で有為に累積生存率が低かった。(考察)TS 発現は制癌剤感受性の指標となり得るだけでなく胃癌における独立した予後因子であることが示唆された。