ABSTRACT 2269(P12-5)
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ホスファターゼ阻害剤併用による5-フルオロウラシルの腫瘍増殖抑制効果の増強:藤村真示, イスラム・ムハモド・ムジャハル, 林玲, 黒岩波子(千葉大・医・生化一)

Synergistic effect of 5-fluorouracil on tumor suppression in combination with phosphatase inhibitors: Shinji FUJIMURA, Md. Muzharul ISLAM, Ling LIN, and Namiko KUROIWA (Dept. Biochem., Chiba. Univ. Sch. Med.)

 肉腫180を移植したマウスに5-フルオロウラシル(5-FU)を経口投与すると、肉腫の細胞質性チミジンキナーゼ(TK)活性は1時間で急速に上昇し、同時にチミジル酸合成酵素活性は強く低下する。また、TKにはリン酸化型と脱リン酸化型があり、前者の活性は安定で、5-FU処理後、多分、遊離のFがホスファターゼ活性を抑え、リン酸化型TKが蓄積される。
 ここでは、各種ホスファターゼ阻害剤を併用したときの5-FUの抗腫瘍効果について検討したところ、効果の増強がみられた。
 1) 結腸癌26のサブクローン20をマウスに移植し5-FUを経口投与すると癌の細胞質性TK活性が上昇した。
 2) このときTKは、DEAE-5PWカラムを用いたHPLCにおいてリン酸化型の活性ピークのみがみられた。
 3) クローン20の培養細胞に各種のホスファターゼ阻害剤のうちNaFとβ-グリセロリン酸以外の、Calyculin-A, Cantharidin, Microcystin-LR, Phenylarsine oxide, Okadaic acidを細胞毒性が現われない程度の濃度で併用したとき、3μMの濃度の5-FUの腫瘍抑制効果が相乗的に促進された。