ABSTRACT 2272(P12-6)
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抗腫瘍性ヌクレオシド、3'-ethynylcytidine (ECyd)、及び 3'-ethynyluridine (EUrd) の作用機序の解析:菅田浩司1, 高取 聡1, 綿矢有佑1,松田 彰2, 佐々木琢磨3, 田中基裕3, 福島正和41岡山大・薬,2北大・薬, 3金沢大・がん研,4大鵬薬品・第二がん研)

Cytotoxic mechanisms of antitumor nucleoside analogues, 3'-ethynylcytidine (ECyd) and 3'-ethynyluridine (EUrd): Hiroshi KANDA1,Satoshi TAKATORI1,Yusuke WATAYA1,Akira MATSUDA2,Takuma SASAKI3,Motohiro TANAKA3,and Masakazu FUKUSHIMA4 (1Faculty of Pharm. Sci.,  Okayama Univ., 2Faculty of Pharm. Sci., Hokkaido Univ., 3Cancer Res. Inst., Kanazawa Univ., 4Cancer Res. Lab.-2, Taiho Pharmaceutical Co., Ltd.)

【目的】RNA 合成阻害剤である 3'-ethynylcytidine (ECyd)、及び 3'-ethynyluridine (EUrd) の 作用機序の解析を行った。【方法】[3H]-GTP の取り込みを指標に、マウス乳癌由来 FM3A 細胞から単離した核に ECyd、又は EUrd の活性体である ECTP、又は EUTP を作用させ、RNA polymerase の阻害機構を解析した。 また、ECyd、及び EUrd を FM3A 細胞に作用させ、細胞死誘導機構について検討を行った。【結果・考察】ECTP、及び EUTP の RNA polymerase に対する Ki 値は、それぞれ 21 nM、及び 84 nM であった。CTP、及び UTP のRNA polymerase に対する Km 値がそれぞれ 8.0 マイクロM、及び 13 マイクロM であったことから、ECTP、及び EUTP は CTP、及び UTP と比較して RNA polymerase に対する親和性が極めて高いことが明らかになった。また、ECyd、及び EUrd による細胞死はタンパク質合成阻害剤である cycloheximide (CHX) では抑制されなかった。これに対して、比較対照に用いたFdUrd による細胞死は CHX によって抑制された。また、ECyd、EUrd、及び FdUrd によって誘導される細胞死はいずれも共通の protease inhibitor によって抑制された。以上の結果、ECyd、及び EUrd は RNA 合成の阻害をターゲットとしており、かつ、その細胞死誘導機構にタンパク質合成を必要としない点で既存の抗腫瘍薬とは異なっていた。しかしながら、最終的に細胞死を実行する protease の関与は共通であると考えられた。ECyd、及び EUrd の作用機序を解明することは、新規抗腫瘍薬の開発に新たな知見を与えるものである。