ABSTRACT 2273(P12-6)
新規抗腫瘍性ヌクレオシド,3'-ethynylcytidine (ECyd,TAS-106)の作用機序に関する他剤との比較検討:中村裕美1,島本雄司1,荒川和人1,福島正和1,田中基裕2,松田彰3,,佐々木琢磨2(1大鵬薬品・第二がん研,2金沢大・がん研,3,北大・薬)
Cytotoxic mechanisms of a novel antitumor nucleoside, 3'-ethynylcytidine(ECyd,TAS-106) compared with other antitumor agents.: Hiromi NAKAMURA1, Yuji SHIMAMOTO1, Kazuhito ARAKAWA1, Masakazu FUKUSHIMA1, Motohiro TANAKA2, Akira MATSUDA3,, Takuma SASAKI2 (12nd Cancer Res.Lab.,Taiho Pharm.Co. Ltd., 2Cancer Res.Inst.,Kanazawa Univ., 3,Faculty of Pharm. Sci.,Hokkaido Univ.)
新規抗腫瘍性ヌクレオシド,3'- ethynylcytidine(ECyd, TAS-106)はin vitro及びin vivoにおいて強い抗腫瘍効果を示し、その主たる作用機序はRNA合成阻害であることを報告して来た。まず、我々はECydの作用機序を更に詳細に検討する目的でヒト大腸癌細胞(HCT-15)におけるRNAプロセシングに対する作用ついて5-FUとの比較検討を行った。5-FU処理後の細胞では45S pre-rRNAから18S rRNAへのプロセシング阻害が見られたが、TAS-106処理後の細胞では同様の阻害は見られずむしろ核内に存在する45S、32S及び18S RNAが濃度依存的に減少し、 TAS-106は、核内における45S pre-rRNAの合成を阻害しているということが示唆された。次に、細胞周期と薬剤の感受性との関係についてS期及びM期同調細胞を用いて検討を行ったところTAS-106は周期非依存的な殺細胞効果を示した。以上の結果からTAS-106は細胞周期に依存することなく核内RNAの生合成(RNA polymerase反応)を阻害して殺細胞作用を示すことが示唆された。