ABSTRACT 2275(P12-6)
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dCyd kinaseに対する各種抗腫瘍性ヌクレオシドトリリン酸体のfeed back阻害作用:小幡 徹1、内田博之2、遠藤良夫1、川上智久1、田中基裕1、佐々木琢磨11金沢大・がん研・化療、2福井大・工)

Feed back inhibition of antitumor nucleoside triphosphates on dCyd kinase: Tohru OBATA1, Hiroyuki UCHIDA2, Yoshio ENDO1, Tomohisa KAWAKAMI1, Motohiro TANAKA1, Takuma SASAKI11Dept. Exp. Ther., Cancer Res. Inst., 2Fac. Engineering, Fukui Univ.)

【目的】dCyd kinaseによるリン酸化は最終生成物であるdCTPやAraCTPなどのトリリン酸体によって阻害を受ける。そこで、CNDAC(2'-C-cyano-2'-deoxy-1-beta-D-arabinofuranosylcytosine)を初めとするいくつかの抗腫瘍性2'-dCyd誘導体のトリリン酸体を用いてdCyd kinaseに対するfeed back阻害作用を比較検討した。【方法】精製したマウスのdCyd kinaseを用い、[3H]-dCydを基質として37。Cで反応後、生成するdCMPをTLCにより分画し、その放射活性を測定した。Km及びKi値はLineweaver-Burk plots法を用いて解析した。【結果と考察】10μMのdCTPを反応系に添加すると、dCyd kinaseによるリン酸化反応は阻害され、controlの70%のdCMPを生成するにすぎなかった。dCMPの生成量が直線的に増加している条件でAraCTP、CNDACTP、DMDCTP、dFdCTPをそれぞれ反応系に添加して、その阻害活性を比較した。その結果、Ki値はそれぞれ150、>800、>900、42μMとなった。従来まで、dFdCTPはdCyd kinaseによるリン酸化反応を阻害しないと考えられてきたが、今回の検討ではAraCTPよりも強く阻害した。また、CNDACTP、DMDCTPはdCyd kinaseのリン酸化反応をほとんど阻害しないため、活性化体であるトリリン酸体が細胞内で時間依存的に蓄積すると考えられた。