ABSTRACT 2277(P12-6)
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ヒト白血病細胞担癌SCIDマウスにおけるFludarabine phosphateの抗腫瘍効果:辰巳ますみ、白 立岩、紺 健治(日本シエーリング・研)

Antitumor efficacy of Fludarabine phosphate on SCID mice bearing human leukemia JOK-1 cells.: M. Tatsumi, L. Bai, K. Kon(Res. Dept., Nihon Schering)

【目的】ヒト慢性リンパ性白血病細胞株(JOK-1)担癌SCIDマウスモデルにおける代謝拮抗剤であるFludarabine phosphateの投与スケジュール及びその治療効果について検討した。
【方法】6週令、雌のSCIDマウスに、2千万個のJOK-1細胞を腹腔内へ移植し(Day0)、担癌マウスモデルを作成した。1群5匹の担癌マウスに、移植翌日(Day1)、11日、16日及び21日目からFludarabine phosphate 300mg/kg(1日1回)、或いは135 mg/kg/inj.(6時間毎1日2回)を5日間連日i.v.投与し、投与スケジュールを検討した。またFludarabine phosphate 135 mg/kg/inj.を移植後1日目から6時間毎1日2回、5日間連日で1及び2クール(休薬期間10日)、対照薬Adriamycin 5mg/kgを移植後1、16日目にそれぞれi.v.し(1群10匹)、延命効果を比較した。Control群は薬剤未処置の担癌マウスとし、治療効果はControl群のMST(Median survival time)に対する薬剤処置群の延命率(ILS:increase in life span)、及びLog-rank検定により評価した。
【結果】SCIDマウスの腹腔内に移植されたJOK-1細胞は、移植後15日目以降、腹腔内で増殖し、また同時期に肝臓及び卵巣への浸潤が認められた。このモデルにおけるFludarabine phosphate 5日間連日投与の至適投与スケジュールは、Day1-5、1日2回投与であると考えられた。このスケジュールにおいてFludarabine phosphateを1及び2クール投与した時のILSは群それぞれ11.9%、32.9%であり、2群ともcontrol群に対して有意に生存日数が延長した。2クール投与群の延命効果は、adriamycin投与群(ILS:33.9%)と同程度であった。
【結論】Fludarabine phosphateはヒト慢性リンパ性白血病細胞担癌マウスにおいて優れた延命効果を示した。1日1回投与より分割投与、また、1クールより2クールの方がより効果的であった。