ABSTRACT 2288(P12-8)
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Sodium butyrateによる肝癌細胞株の分化誘導と肝癌発生の阻止:玉置(橋本)知子1, 山本秀尚2, 藤元治朗2, 岡本英三2, 妹尾純子1, 古山順一1, 玉置大器3,1兵庫医大・遺伝, 2兵庫医大・1外, 3,Dept. Med. Biochem., Univ. Calgary)

Suppression of growth of hepatoma cells by sodium butyrate in vitro and in vivo: Tomoko HASHIMOTO-TAMAOKI1,Hidenao YAMAMOTO2, Jiro FUJIMOTO2, Eizo OKAMOTO2, Junko SENOH1, Jun-ichi FURUYAMA1, Taiki TAMAOKI4 (1Dept. Genet., Hyogo Coll. Med., 2Ist Dept. Surg., Hyogo Coll. Med., 3,Dept. Med. Biochem., Univ. Calgary)

p53遺伝子の変異は治療抵抗性の指標の一つであることから、肝細胞癌細胞におけるp53遺伝子の変異とsodium butyrate(SB)による増殖抑制・分化との関連を検討した。1-3mMのSB処理により、肝細胞癌6株(それぞれp53正常、変異、欠失を持つ)のうちα-fetoprotein発現細胞株では発現が低下し、6株ともにp21waf1発現の著増が特異的に認められた。また3mM以上の処理では6株ともapoptosisが誘導され、軟寒天培地でのコロニー形成能も1%以下に抑制された。ヌードマウスにp53変異を持つHuH-7細胞を接種し同時にSBを全身投与すると腫瘍形成がほぼ完全に阻止され、腫瘍塊への直接投与でもAFP発現低下・p21発現上昇と腫瘍の縮小・生存期間延長を認めた。SB反復投与マウスに副作用は認められず、SBはp53の変異に関わらず肝癌増殖抑制に特異的に作用した。SBのin vivoでの腫瘍形成阻害についてはこれまで報告がない。またSBは肝癌以外の腫瘍細胞株にも増殖抑制を示した。