ABSTRACT 2294(P12-8)
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ヒト前立腺がん細胞TSU-Pr1の酪酸ナトリウムによる分化誘導:
岡野由典1、2、高橋信泰1、板保智大1、清水貴壽1、飯泉達夫2、押尾 茂2、梅田 隆2、武田 健1 (1理科大・薬・衛生化、2帝京大・医・泌)

Induction of differentiation of a human prostatic cancer cell line (TSU-Pr1) by sodium butylate : Yoshinori OKANO1,2 , Nobuyasu TAKAHASHI1, Tomohiro ITAYASU1, Takahisa SHIMIZU1, Tatuo IIZUMI2, Shigeru OSHIO2, Takashi UMEDA2, Ken TAKEDA1 (1Fac. Pharmaceut. Sci., Sci. Univ. Tokyo. 2Dept. Urol., Sch. Med., Teikyo Univ. )

「目的」悪性に転化した前立腺がんの有効な治療法は確立されていない。現在、前立腺がん細胞においては制癌を目的とした分化誘導の試みはほとんどなされていない。我々はリンパ節転位巣から樹立した低分化型ヒト前立腺がん細胞TSU-Pr1の分化誘導を試みた。今回、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、高アセチル化ヒストンを蓄積させる作用があるといわれる酪酸ナトリウムの作用を検討した。
「方法」TSU-Pr1細胞に被験試薬を添加した培地で培養後(〜7日間)、形態と増殖能の変化を調べた。またエステラーゼ活性や種々のマーカー抗原を測定した。
「結果」TSU-Pr1細胞はソディウムブチレートにより、細胞増殖が抑制され、形態学的にミクログリア様細胞に分化した。3mMまで濃度依存的であり、7日目までに約60%の細胞が分化した。非特異的エステラーゼが陽性を示すものがあった。フェニールブチレート、フェニールアセテートも同様な活性を示した。
「考察」ミクログリア様細胞に変化した前立腺がん細胞の癌遺伝子の発現や浸潤能の変化に興味が持たれる。