ABSTRACT 2296(P12-8)
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ジチゾンによるヒト骨髄性白血病細胞株に対する分化およびアポトーシス誘導:興梠順也, 田中慶一(阪大院・薬)

Induction of differentiation and apoptosis by dithizone in human myeloid leukemia cell lines : Junya KOHROKI, Keiichi TANAKA (Pharm. Sci., Osaka Univ.)

[目的]白血病細胞に対して種々の化合物が分化およびアポトーシス誘導活性を示し、その一部については顕著な白血病治療効果を有することが知られている。これまでに我々は、数種のキレーターが胚性腫瘍細胞であるF9細胞に対して分化ならびにアポトーシス誘導活性を示すことを見いだしてきた。そこで今回、白血病細胞に対する新たな分化誘導物質の探索を目的として、これらキレーターのヒト白血病細胞株に対する分化およびアポトーシス誘導活性について検討を行った。
[方法]ヒト白血病細胞株HL-60、ML-1を種々のキレーター存在下で培養し、分化誘導活性の指標としてニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元能を測定した。またアポトーシス誘導はヌクレオソーム単位のDNA断片化をアガロースゲル電気泳動を行うことにより検出した。
[結果・考察]検討したキレーターのうちジチゾンが、HL-60細胞およびML-1細胞に対して用量・時間依存的に分化誘導作用を示すことを明らかにした。またジチゾンはHL-60細胞およびML-1細胞に対してアポトーシス誘導作用をも示した。ジチゾンによる分化誘導作用とアポトーシス誘導作用には用量及び時間的な相関性が認められ、両者には何らかの関連性があると考えられる。さらにジチゾンの分化およびアポトーシス誘導活性は、数種の金属イオンによって抑制されることから、ジチゾンの分化及びアポトーシス誘導作用に対する金属イオンの関与が示唆された。