ABSTRACT 2297(P12-9)
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肝臓癌腹膜播種治療を目的としたAdriamycin 含有リポソ−ム腹腔内投与の有効性 -組織分布に及ぼすリポソーム構成脂質及び粒径の影響- : 佐塚泰之, 広田貞雄(静岡県大・薬)

Efficacy of Intraperitoneal Administration of Adriamycin Encapsulating Liposomes:Yasuyuki SADZUKA, Sadao HIROTA ( Univ. of Shizuoka )

【目的】全身及び局所治療におけるAdriamycin (ADR) 含有リポソ−ム腹腔内投与の有効性をこれまで明らかにしてきた。今回は、リポソ−ム構成脂質及び粒径が ADR の腹腔内滞留性及び組織分布性に及ぼす影響を検討した。
【方法】ADR を含むリン脂質 (DMPC or DSPC)、cholesterol、陰性荷電脂質 (DMPG)よりなるリポソ−ムを調製し、使用する脂質、粒径を変化させた。これらリポソ−ムを CDF1 系マウスに2.5 mg/kg の用量で腹腔内投与し、各組織の ADR 量を測定した。
【結果及び考察】腹腔からのリポソ−ムの消失にリン脂質の影響はなかったが、血中滞留性はDSPC-リポソ−ムの方が優れていた。また、粒径の小さなリポソ−ム(150 nm )より大きなリポソ−ム ( 4 μm ) の腹腔内 ADR レベルが投与後長時間において高く、局所治療には粒径の大きなリポソ−ムが適していることが明らかとなった。一方、血中滞留性及び背部固形腫瘍への targeting は粒径の小さなリポソ−ムにおいて顕著であり、リポソ−ム表面修飾の効果も認められた。従って、リポソ−ム粒径の変化によりその目的にそった治療が可能であることが示唆された。