ABSTRACT 2298(P12-9)
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血中薬剤濃度自動シミュレーターを用いた抗腫瘍剤の殺細胞様式の検討:岸慎治, 浦崎芳正, 山内高弘, 福島俊洋, 津谷寛, 上田孝典(福井医大・一内)

Cell killing action of antitumor agents determined by in vitro pharmacokinetic simulation model : Shinji KISHI, Yoshimasa URASAKI, Takahiro YAMAUCHI, Toshihiro FUKUSHIMA, Hiroshi TSUTANI, Takanori UEDA (1st Dept., Int. Med., Fukui Med. Univ.)

[目的]コンピュータ制御により培地中の薬剤濃度を自在に変化させることが可能な血中薬剤濃度自動シミュレーターを用い、代表的抗白血病剤 cytosine arabinoside (ara-C) 及び daunorubicin (DNR) についてこれら薬剤の臨床投与時の pharmacokinetics を正確に反映した条件下での殺細胞様式につき従来の静置培養実験系と比較検討する。[対象と方法]大屋らの方法を改変し、シミュレーター作動下で、ヒト白血病細胞株 K562 を臨床的通常量 ara-C 療法 あるいは DNR 50 mg/m2 投与の条件で AUC を等しくして設定投与時間を変化させて培養し、薬剤添加24時間後の細胞増殖阻害効果を clonogenic assay により求めた。別に静置培養条件下で薬剤濃度 x 暴露時間が等しくなるように設定して細胞を一定時間培養し、細胞増殖阻害効果を同様に求めシミュレーター群と比較検討した。[結果]両実験系を比較すると、通常量 ara-C 療法の条件では、その細胞増殖阻害効果においてシミュレーター作動条件下で明瞭な時間依存性が確認されたが、静置培養条件下では認められなかった。DNRにおいてはその増殖阻害効果は両実験系とも AUC より Cmax に依存することが示唆されたが、その依存性はシミュレーター実験系においてより小さく、臨床像を反映していた。[結語]抗腫瘍剤の臨床投与時の効果予測において、本実験系を用いた検討の重要性が明らかとなった。(文部省科学研究費の援助を受けた)