ABSTRACT 2299(P12-9)
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Δ7プロスタグランジンA1誘導体のラット体内動態、ヒト培養がん細胞パネルによる制がん効果の検定および殺細胞キネティクスの検討:福島昭二1,竹内由和1,岸本修一1,山下彰一1,鈴木正昭2,古田享史2,野依良治3,矢守隆夫4,鶴尾隆4,5,黒住精二6,福島雅典7 (1神戸学院大・薬,2岐阜大・工,3名大大学院・理学研,4癌研・癌化療セ,5東大・分生研,6帝人,7愛知がんセ・内)

Pharmacokinetics in rat, result in a human cancer cell line panel for anticancer drug screen system, cell killing kinetics in vitro of delta-prostaglandin A1 analogs: Shoji FUKUSHIMA1, Yoshikazu TAKEUCHI1, Shuichi KISHIMOTO1, Shoichi YAMASHITA1, Masaaki SUZUKI2, Kyoji FURUTA2, Ryoji NOYORI3, Takao YAMORI4, Takashi TSURUO4,5, Seiji KUROZUMI6, Masanori FUKUSHIMA7 (1KobeGakuin Univ.,2Gifu Univ.,3Nagoya Univ.,4Cancer Chemother.Ctr., Jpn.Fdn.Cancer Res.,5Inst.Mol.Cell. Biosci., Univ.Tokyo, 6Teijin LTD.,7Aichi Cancer CTR.)

脂肪乳剤に封入された13,14-dihydro-15-deoxy-△7-PGA1 methyl ester (TEI-9826)は、Colon 26担癌マウス(s.c.)において、bolus iv投与では増殖抑制効果を示さないのに対し、ip, sc, および1日4回1回5分での持続・頻回iv投与では有意な増殖抑制効果を示した。この結果は、血中濃度の持続が増殖抑制効果発現に必要なことを示唆している。そこで、ラットにおいて、各投与ルートでの体内動態を、TEI-9826およびエステル加水分解体(カルボン酸体)について検討した。その結果、ip投与では投与後12時間以上に渡ってTEI-9826およびカルボン酸体が検出されたのに対し、bolus iv投与ではほとんどのラットでいずれも1〜2時間以内で検出限界以下になった。38種のヒト培養がん細胞パネルによる制癌効果の検定では、△7-PGA1、TEI-9826およびTEI-9038いずれも十分な抗腫瘍効果を示し(平均GI50: 3.2μM, △7-PGA1; 3.3μM, TEI-9826; 2.6μM, TEI-9038)、Finger Printが既存の抗がん薬と異なったパターンを示すことから、作用メカニズムが新規であることが示唆された。殺細胞キネティクスを明らかにするために、Colon 26細胞を用い、コロニーアッセイを行った結果、濃度・コロニー形成率の片対数プロットにおいて、TEI-9826は2相性を示した。すなわち、各接触時間において、コロニー形成率は濃度の増加と共に直線的に減少したが、ある濃度を超えると急激に減少した。このことは、低濃度と高濃度でTEI-9826の作用が異なっていることを示唆する。 (厚生省がん克服戦略研究事業)