ABSTRACT 2391(P12-15)
 ポスターセッション一覧 トップ 


マイトマイシン―Cの骨髄抑制に対する施灸刺激の回復効果:篠原昭二,田村隆朗,咲田雅一(明治鍼灸大・東洋医学基礎,外科)

Study on restration effects of moxibustion for bone marrow inhibition induced by administration of MMC in mice :Shoji SHINOHARA,Takaaki TAMURAand Masakazu SAKITA (Dept. of Basic Oriental Med.,Meiji Univ. Oriental Med.,Dept. of Surg.,Meiji Univ. Oriental Med.)

【目的】担癌患者の化学療法の副作用に対して、灸治療をすることによって症状の緩和をみる症例が時折認められる。そこで、マウスを用いマイトマイシンC(MMC)投与による骨髄抑制に対する灸刺激の回復効果について検討した。
【方法】C3H/He 雄性マウス(各群六匹)に,MMCの6mg/kg腹腔投与を行い、投与2週間後の末梢血白血球数、赤血球数の変化、脾臓重量、脾細胞数、脾細胞の芽球化反応、NK活性等について測定した。灸刺激は、0.6mgのモグサをマウスの腰部を剃毛後、最下肋骨高位で腰椎の両側2カ所に施灸した。施灸のタイミングは、MMCの腹腔投与前1週間から連日および隔日施灸したものと、投与した日から隔日施灸したものとし、MMC投与のみを行った対照群には、灸刺激群と同様のハンドリング操作を行った。
【結果】(1)末梢血赤血球数及び白血球数は灸刺激により、いずれも対照群に比して増加傾向を示し、投与前から隔日刺激した群が最も顕著に増加した。(2)脾臓重量は、MMC投与のみを行った対照群では減少するが、投与前から隔日施灸した群では、脾重量の減少は最も少なく、脾細胞数も対照群に比して有意に増加する傾向が見られた。(3)脾細胞の芽球化反応ならびにNK活性は、施灸群において増加傾向が見られるものの、有意差は認められなかった。以上のことから、施灸はMMCによって抑制された骨髄機能及び免疫能に多少影響を与え、それを回復する方向に作用する可能性が示唆された。