ABSTRACT 2413(P13-1)
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OK-432重合腫瘍ワクチンによる腫瘍特異的免疫の誘導:武川寛樹,露木良治,川辺良一,筑丸 寛,大村 進 (横浜市大 口外)

OK-432-conjugated tumor vaccine induces tumor-specific immunity:Hiroki BUKAWA, Yoshiharu TSUYUKI, Ryoichi KAWABE, Hiroshi CHIKUMARU, Susumu OMURA, (Dept. Oral Maxillof. Surg., Yokohama City Univ. Sch. Med.)

【目的】腫瘍細胞に対してOK-432を重合させたワクチンを作製し、腫瘍細胞の抗原性の強化を図り、腫瘍特異的免疫を誘導する。
【方法】B16 melanomaおよびSq-1979に対して、各々OK-432を混合後、グルタールアルデヒド(GA)によって重合し、腫瘍ワクチン(V-B16,V-Sq)を作製した。GA処理後の細胞に対してトリパンブルー染色を行い、死亡細胞数を測定した。C57BL/6マウスに対してV-B16を3回・2回・1回接種した群と生食を3回接種した群(control)の4群に分け、B16 melanomaをチャレンジして経過を調べた。次いで、腫瘍接種後の免疫効果を調べるために、Sq-1979をC3Hマウスに接種後、V-Sqを接種して腫瘍の発育を調べた。Control群には同様に生食を接種した。
【結果】腫瘍ワクチンの重合開始して、30分で腫瘍細胞周囲にOK-432が重合された状態が確認された。重合終了後に遠心しても、重合は安定しており腫瘍ワクチンの形態は維持されていた。トリパンブルー染色では、重合細胞の50-80%に取り込みがみられた。B16 melanoma接種前に3回免疫した群は、control群に比べて腫瘍出現率・死亡率とも低く、28.5%のマウスでは腫瘍を完全に拒絶できた。Sq-1979を接種後、ワクチンで免疫した群もcontrol群に比べて、明らかに腫瘍の発育を抑制できた。また、ワクチン接種部位に腫瘍が出現したことは約200回の接種で一度もなかった。
【考察】OK-432重合腫瘍ワクチンは、B16 melanomaおよびSq-1979に対して腫瘍抑制効果を示し、特異的免疫の誘導が示唆された。またその安全性も高いと考えられた。本法はすべての固形腫瘍に応用可能で、安価で簡便であることから臨床応用への可能性が高いと思われる。