ABSTRACT 2415(P13-1)
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悪性神経膠腫におけるTNFR1、c-mycおよびNF-κBの発現 :山本正昭、福島武雄、林 修司、杣 源一郎 1、朝長正道(福岡大学脳神経外科、1高野病院研究部)

Expression of TNFR1, c-myc and NF-kB in malignant astrocytomas: Masaaki YAMAMOTO, Takeo FUKUSHIMA, Shuji HAYASHI, Gen-Ichiro SOMA1, Masamichi TOMONAGA (Dept. of Neurosurg., Fukuoka Univ., 1Dept. of Molecular Medicine, Takano Hosp.)

【目的】悪性神経膠腫の補助療法として手術および放射線治療に加えてMCNUとTNF-SAM2 を併用した免疫化学療法を施行している。最近NF-κBのTNFR1を介しての活性化がTNF alphaの抗腫瘍効果を阻害することが報告されため、悪性神経膠腫でのTNFR1, c-mycおよびNF-κBの発現を検討した。【方法】ヒト正常脳組織 、良性および悪性神経膠腫の凍結組織中のTNFR1, c-mycおよびNF-κB (p50およびp65)およびのmRNAの発現をRT-PCR用いて調べ、また同じ凍結組織の連続切片を用いて免疫組織学的に腫瘍組織でのNF-kBの局在を検討した。【結果】正常脳白質組織中(N=5)ではNF-kB (p50およびp65)のmRNAは検出されなかった。Glioblastoma (GBM)(N=10)およびanaplastic astrocytoma (AA) (N=5)ではNF-kB (p50およびp65)のmRNAがほとんどの症例で検出された。Low-grade astrocytoma (LGA)では7例中4例に検出された。連続切片を用いたNF-kBの免疫染色では、腫瘍細胞の細胞質と核に局在する細胞群がみられ、NF-kBが活性化されている腫瘍細胞群が存在することが示唆された。TNFR1およびc-mycの mRNAはGBM、AAのほとんどの症例で検出された。LGAではTNFR1は7例中3例、c-mycは7例中2例に検出された。【結論】悪性神経膠腫ではTNFR1およびc-mycが発現しており、TNF-SAM2による免疫療法による直接的な抗腫瘍効果が期待できるが、同時にNF-kB も発現しており、NF-kB の活性化を阻害するような薬剤との併用療法の開発が望まれる。