ABSTRACT 2426(P13-1)
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扁平上皮癌細胞の化学・放射線前処理によるLAK細胞のアポトーシス誘導の亢進:山本哲也,植田栄作,米田和典,尾崎登喜雄(高知医大・口外)

Chemo-radiosensitization of squamous carcinoma cells for induction of apoptosis by LAK cells : Tetsuya YAMAMOTO, Eisaku UETA, Kazunori YONEDA, Tokio OSAKI (Dept. of Oral Surg., Kochi Med. Sch.)

 抗癌剤および放射線で扁平上皮癌細胞を前処理すると、LAK細胞によるアポトーシス誘導が上昇することを見い出したので、その機序を含め報告することとする。
 株化扁平上皮癌細胞に、5FU:1-5μg/ml、CDDP: 1-5μg/mlあるいはγ線: 2-10Gyといった前処理の後、LAK細胞を加えると、癌細胞の増殖は強く抑制されると共に、癌細胞の傷害は前処置を行わない場合の約2倍に亢進した。各前処理により癌細胞のFas発現は上昇し、各前処理をした細胞をLAK細胞と混合した後の癌細胞のcaspase-3活性は前処理を行わなかった(無処理の)場合の2-4倍に上昇すると共に、ミトコンドリア膜電位の低下、チトクロームCの遊離、PARPのcleavage、さらには、AP-1の活性化の亢進が認められた。各前処理をした細胞をLAK細胞と混合する前に、DEVD-CHOで処理すると癌細胞の被傷害性は10-40%抑制され、抗FasIgG抗体で処理すると癌細胞の被傷害性は約15%、caspase-3活性は15-20%抑制された。
 以上より、腫瘍細胞を低線量、低濃度のγ線あるいは抗癌剤で処理することにより、腫瘍細胞はLAK細胞に対して感受性となり、傷害性の亢進にアポトーシスが関わっていることが明らかとなった。発表に当っては、LAK細胞によるアポトーシスを、グランザイムBおよび活性酸素の関与を含め、より詳細に示す予定である。