ABSTRACT 2432(P13-2)
clarithromycin投与非小細胞肺癌患者およびマウス肺癌モデルにおけるNK活性の変動:坂本正洋1,澤木政好1,三笠桂一1,濱田 薫1,古西 満1,前田光一1、善本英一郎1,植田勝廣1,眞島利匡1,喜多英二2,成田亘啓1(1奈良医大2内,2奈良医大細菌)
Change in NK activity with clarithromycin treatment for non small cell lung cancer and murine lung cancer model:Masahiro SAKAMOTO1, Masayoshi SAWAKI1, Keiichi MIKASA1, Kaoru HAMADA1, Mitsuru KONISHI1, Koichi MAEDA1, Eiichiro YOSHIMOTO1, Katsuhiro UEDA1, Toshimasa MAJIMA1, Eiji KITA2, Nobuhiro NARITA1 (1Dept.of Int. Med.U, Nara Med. Univ., 2Dept. of Bac., Nara Med. Univ.)
【目的】14員環マクロライド系抗菌薬clarithromycin(CAM)がBRM活性を有し非小細胞肺癌患者の生存期間を有意に延長させ、その作用機序の1つとしてIL-12の生物活性増強による細胞性免疫能亢進を報告した。今回は更なる作用機序の解明と投与時期の決定のため、非小細胞肺癌患者及びマウス肺癌モデルでCAM投与前後のNK活性を測定した。
【対象・方法】(1)臨床検討:当科に初回入院した切除不能原発性非小細胞肺癌患者18例(腺癌11例、扁平上皮癌7例。III期12例、IV期6例)を対象とした。CDDPを中心とする抗癌化学療法と放射線療法を施行し、抗癌療法終了4週後からCAM400mg/日を経口投与した。そして抗癌療法前、CAM投与前、投与1カ月、3カ月後にNK活性を測定した。(2)マウス肺癌モデル:6週令雌C57BL/6マウスにルイス肺癌を腹壁皮下接種したマウス肺癌モデルを用い、腫瘍接種7日後(day7)にCDDP 6mg/kg、VDS 7mg/kgを静注し、同日よりCAM 10mg/kg/dayを連日強制経口投与した同時併用群と抗癌剤投与後7日目(day14)よりCAMを開始した群、溶媒対照群、抗癌剤もCAMも投与しなかった無治療群の4群に分けday-1(腫瘍接種前日)day7、14、21に脾細胞を取り出しNK活性を測定した。
【結果】(1)臨床:V期の12例中9例がCAM投与1、3カ月後の時点で抗癌療法前よりNK活性が上昇していた。CAM投与1カ月後にはCAM投与前と比較してNK活性が上昇する傾向にあり、特にIII期の症例で有意に上昇した。IV期の症例では一定の傾向はなかった。(2)マウス肺癌:同時併用群ではCAM投与1週後(day14)に溶媒対照、無治療群と比較して有意にNK活性が高かったがCAM投与2週後(day21)には溶媒対照との差は認められなかった。抗癌剤投与7日後よりCAMを開始した群ではday21においても、他3群と比較して有意にNK活性は高かった。
【結語】CAMは非小細胞肺癌患者のNK活性を上昇させるが、その投与時期に関しては抗癌療法とCAMの同時併用を行うより間隔をあけて投与する方が有効である可能性が示唆された。