ABSTRACT 2434(P13-2)
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癌患者末梢血の病態経過における免疫学的指標の検討:濱里真二, 藤本重義(高知医大・免疫学)

Study of peripheral leukocytes subsets as an immunological indicator with cancer patients: Shinji HAMASATO, Shigeyoshi FUJIMOTO (Dept. of Immunol., Kochi Med. Sch.)

 われわれは、ヒトの系で、癌に対する特異的免疫療法として、患者末梢単核球(PBMC)をin vitroでマイトマイシンC処理自己腫瘍細胞にて刺激誘導した特異的細胞障害性T細胞(CTL)を戻し移入するCTL療法について研究,報告してきた。しかし、癌患者のPBMCの多くは、健康人に比して単球の比率が高く、効果的なCTL誘導の一つの障害となっている。今回は、実際の癌患者の末梢血Tリンパ球サブセットと単球の変動が、治療による病態把握の指標となりうるかを四国内11施設の協力を得て解析し得たので報告する。対象は、胃癌,大腸癌,肝胆膵癌,乳癌の患者44例で、徐放性5FU剤SF-SP投与前、投与1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の病態変化と末梢血のTリンパ球サブセット(CD3, CD4, CD8)及び単球(CD14)の変動を解析した。症例を病態維持群と悪化群に分けて分析してみると、CD4/CD8比に関しては、両群間で有意差は見られなかったが、単球の割合は悪化群で高く、特にCD8/CD14比は、維持群では、全例1.0以上で経過したのに対し、悪化群では全例下降する傾向にあり、6ヶ月後には、経過を観察できた全例が1.0以下となっていた。これより、種々の治療経過においても、末梢血中の単球の割合、特にCD8/CD14比の変化は、癌患者の病態変化を把握する免疫学的指標として有用であると考えられた。