ABSTRACT 2435(P13-2)
オオシロアリタケ Termitomyces albuminosus熱水抽出物の抗腫瘍効果:石井 達1、安達禎之2、宿前利郎2(1うすき生科研、2東京薬大・薬・第一微生物)
Antitumor effect of water extract from Termitomyces albuminosus : Satoshi ISHII1, Yoshiyuki ADACHI2, Toshiro YADOMAE2 (1Usuki Bio Res. Cent. 2Lab. Immunopharm. Microbial Products, Tokyo Univ. Pharm. Life Sci.)
【目的】マツタケをはじめ食用のキノコには抗腫瘍効果を示すものが多く知られている。そこで今回我々は、中国雲南省特産で白蟻の巣の上に生じるキノコとして珍重されているオオシロアリタケの抗腫瘍効果について検討した。
【方法】ICRマウスの鼠径部皮下に5,000,000個のサルコーマ180を移植した。移植後隔日で5回、腹腔内に熱水抽出物を投与し、35日目に腫瘍重量を計測し、腫瘍増殖抑制率を算出した。また、熱水抽出物を分画し、活性成分について検討した。
【結果】オオシロアリタケ熱水抽出物は用量依存的腫瘍重量を減少させ、20 mg/マウスの投与量では抑制率99.9%で、同濃度のマツタケ熱水抽出物の効果(70.3%)に比べて高かった。また、オオシロアリタケ熱水抽出物はRAW264.7細胞に対し、顕著にTNFα産生を誘導した。この活性成分は5%トリクロロ酢酸(TCA)処理では沈澱と上清の両者に認められた。沈澱はタンパク質を多く含み、上清は糖質を多く含んでいた。さらにβ-グルカン含量は上清に高く、沈澱にはほとんど認められなかった。
【考察】オオシロアリタケ熱水抽出物は強い抗腫瘍活性を示すことが認められた。その活性成分としては、少なくとも2種の異なる成分、すなわちβ-グルカンとタンパク性の物質からなると考えられる。