ABSTRACT 2439(P13-2)
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角質層破壊皮膚を用いた癌特異的CTL感作法:瀬尾尚宏、戸倉新樹、古川福実、瀧川雅浩(浜松医大・皮)

Percutaneous Immunization via Barrier-DisruptedSkin for Tumor Immunotherapy : Naohiro SEO, Yoshiki TOKURA, Fukumi FURUKAWA, Masahiro TAKIGAWA (Dept. Dermatol., Hamamatsu Univ. Sch. Med.)

[目的]  近年、樹状細胞を用いた癌の免疫治療法が注目されている。皮膚の表皮にはランゲルハンス細胞(LC)と呼ばれる樹状細胞が多数常在しているので、皮膚を介した癌の免疫治療法が可能かもしれないが、これを実現させるためには通常休止状態にあるLCを何らかの方法で活性化させることが最も重要なテーマとなる。我々はこれまでの研究によって、角質層バリア破壊皮膚ではLCの抗原提示能が急速に高まることを明らかにした。本研究においては、バリア破壊皮膚へのCTL誘導性ペプチド塗布により生体内で特異的CTLが感作されるかどうかを検討した。
[結果と考察] テープストリッピング(TS)により角質層除去したB6マウス耳翼にH-2Kbにより提示されCTL誘導能が知られているTRP-2(B16メラノーマのエピトープ),MUT1(3LL肺癌細胞のエピトープ)ペプチドを塗布し、その後の頚部リンパ節内における特異的CTL感作について検討した。結果、TS後12〜24時間で耳翼あたり20〜40μgのペプチド塗布した時に最も強くCTL感作が起こることが判った。TS耳翼によるペプチド処理から2週間後TS腹部皮膚を用いて同じペプチド塗布すると全身で特異的CTLが誘導された。このようにしてTRP-2またはMUT1免疫されたマウスは、それぞれB16または3LL細胞の皮下移植を拒絶した。さらにB16担癌マウスにTS皮膚を用いてTRP-2塗布した時、顕著な癌細胞増殖の低下がみられた。以上より、TS皮膚はCTLに注目した癌の免疫治療の実施に有用であるとかんがえられた。