ABSTRACT 2440(P13-2)
DMBA誘発ハムスター頬嚢発癌に対するマクロファージ活性化因子(GcMAF)の抑制効果:浦出雅裕,岸本裕充,橋谷 進,櫻井一成,柳澤高道(兵庫医大・歯口外)
Inhibitory effect of a macrophage activating factor (GcMAF) on DMBA-induced hamster buccal pouch carcinogenesis:Masahiro URADE,Hiromitsu KISHIMOTO,Susumu HASHITANI,Kazunari SAKURAI,Takamichi YANAGISAWA(Dept. Dent. Oral Surg,Hyogo Col,Med.)
【目的】GcMAFはヒト血清中のビタミンD3結合蛋白(Gc蛋白)を前駆物質として,B細胞のβ-ガラクトシダーゼとT細胞のシアリダーゼにより順次加水分解され,N-アセチルガラクトサミン末端をもつ因子として生成される.今回はGcMAFのDMBA誘発ハムスター頬嚢発癌系におけ¥る発癌抑制効果の有無を検討した.
【方法】雄シリアンハムスター(5週齢)の頬嚢に,1%DMBAアセトン溶液を週3回塗布した.ハムスターをGcMAF(100pg)投与群と非投与群に分け,発癌抑制効果を調べるとともに,形成腫瘍に対してはGcMAFの抗腫瘍効果を調べた.マクロファージ活性化は活性酸素生成能を指標として,チトクローム C還元法により測定した.
【結果と考察】DMBA塗布により,GcMAF非投与群(12匹)は約10週で全てのハムスターに乳頭腫〜扁平上皮癌が形成され,20週以内に全て腫瘍死したのに対し,GcMAF投与群(14匹)では,2匹に腫瘍形成を認めず,12匹に13-15週で腫瘍形成を認めたものの増大が遅く,20週以内に腫瘍死しなかった.また,実験途中よりGcMAF投与を中止したものでは,腫瘍増大速度が増加し,途中より投与を始めたものでは増大速度が減少した.GcMAF処理によりin vitroおよびin vivoで腹腔マクロファージの活性化が認められ,活性化マクロファージはハムスター腫瘍細胞に対して殺細胞効果を示した.以上の結果より,GcMAFはマクロファージ活性化により腫瘍形成を抑制あるいは遅延させ,形成腫瘍に対しては増殖抑制に働くことが示唆された.