ABSTRACT 2442(P13-2)
熱ショック蛋白誘導剤処理による癌細胞ワクチンの調製:氏家俊光(金沢大・がん研・化療)
Cancer vaccine preparation by using heat shock protein-inducing agents : Toshimitsu UJIIE (Dept. Exp. Therap., Cancer Res. Inst., Kanazawa Univ.)
[目的]温熱処理に加え、亜砒酸塩 (As) 処理でも癌細胞は高い癌免疫原性を示す.スズメバチ毒素 Mastoparan (MP) あるいはprostaglandin A1 (PGA1)とAs の併用処理により調製した癌細胞ワクチンの効果をマウス実験腫瘍モデルで比較した. [方法]癌細胞(EL-4、BAMC-1、Meth A、Colon 26、5--10 X 106/ml)を 10--30 μuM As、あるいは As と4 μuM MP、 As と 10--30 μuM PGA1 と共に90分間培養、直ちに30 分間、37 度で mitomycin C (MMC、50--100 μug/ml) 処理し、癌ワクチンを調製した. [結果] MMC 処理癌細胞、 As 処理後 MMC 処理細胞、 As と MPあるいは PGA1 処理後 MMC 処理細胞を各々A、B、Cとすると、B 特にC 感作マウス脾細胞は強い腫瘍特異的細胞増殖、細胞障害活性を示した. C は B より、 B は A よりも強い in vivo 癌ワクチン効果を示し、癌特異的予防、治療効果を示した. [結論]熱ショック蛋白 (hsp) 誘導剤 As 処理癌細胞は非処理癌細胞に比べ高い癌免疫原性、癌ワクチン効果を示し、その効果は hsp 産生誘導を促進する MP あるいは PGA1 併用処理により著しく亢進した.hsp を癌細胞に誘導産生させる薬剤処理の試みは、癌ワクチン調製の有力な一手法と考える.