ABSTRACT 2482(P15-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


Comparative Genomic Hybridization(CGH)法を用いた肝細胞癌の遺伝子・染色体異常の解析:草野倫好1,2、白石 慶1,2、沖田 極2、佐々木功典1(山口大2病理1、1内2

Genetic aberrations detected by comparative genomic hybridization (CGH) in hepatocellular carcinoma:Noriyoshi KUSANO1,2,Kei SHIRAISHI1,2, Kiwamu OKITA2, Kohsuke SASAKI1.(1Dept. of Pathology, 2First dept of Int. Med., Yamaguchi Univ., Sch. of Med.)

【目的】肝細胞癌における染色体・遺伝子変化を知る目的で、外科的に切除された肝細胞癌症例にCGH解析を行った。【対象と方法】外科切除標本28症例(組織型としては高分化型4例,中分化型14例,低分化型10例,大きさでは2cm未満5例,2cm以上5cm未満13例,5cm以上10例,ステージ分類ではstageII14例,stageIII6例,stageIV7例,ウイルスに関してはHBV8例,HCV19例)を用いて型通りにCGH解析を行った。【結果】DNAコピー数の相対的増加(gain)を,染色体1qに68% (19/28),8qに64% (18/28)の症例で認めた。腫瘍径が2cm未満かつ高分化型の症例では高頻度に8q24.1ー3領域に増加を認め,悪性度が増加すると8q全体領域の増加を認めた。低頻度(18%)だが腫瘍径2cm以上かつ中分化型以上の症例には11q13.1ー5領域の増幅を認めた。一方,DNAコピー数の相対的減少(loss)は13qで54%(15/28),16qで50%(14/28),17qで46%(13/28),4qで32%(9/28)の症例に認められた。中分化型,低分化型癌の症例には13q12ー14領域の減少を認めたが,高分化型では認められなかった。B型肝炎感染例とC型肝炎感染例では、72%に共通した異常を認めた。【結語】肝細胞癌における発癌では8q24.1ー3領域に存在する遺伝子が,進展には13q12ー14領域に存在する遺伝子の関与が示唆された。