ABSTRACT 2486(P15-1)
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比較遺伝子競合(CGH)法による髄膜腫全染色体の解析:丸野元彦, 吉峰俊樹, 二宮宏智, 井阪俊彦, 早川 徹(阪大・医・脳外)

Analysis of the entire chromosome of meningiomas by comparative genomic hybridization (CGH) : Motohiko MARUNO, Toshiki YOSHIMINE, Hirotomo NINOMIYA, Toshihiko ISAKA, Toru HAYAKAWA (Dept. of Neurosurgery, Osaka Univ. Med. Sch.)

【目的】遺伝子コピー数の増減を全染色体において一度に検出し、マッピングできる比較遺伝子競合(comparative genomic hybridization, CGH)法を用い髄膜腫にみられる染色体異常を解析した。【方法】手術により摘出した髄膜腫12例の凍結切片より DNA を抽出した (SepaGeneTM) 。腫瘍 DNA をSpectrumGreenヒト正常組織由来 DNA を SpectrumRed で標識し、これらをヒト正常分裂中期染色体に対し競合的に hybridization させ、染色体・遺伝子解析システム(Power GeneTM)を用いて解析した。さらに、腫瘍増殖能との関連につき検討した。【結果】染色体の欠失や増幅などの異常は50%の例に認められた。1p (50%)、22q (30%) における欠失が最も多く認められ、その他の部位での欠失や増幅は散発的であった。また、一例あたり3.8 ± 1.8 (mean ± S.D.) カ所の染色体異常が認められた。染色体異常を認める例の MIB-1 staining index (MIB-SI, %) は 2.3 ± 0.6% であったのに対し、認めない例では 1.6 ± 0.3% であり、MIB-SI の増加と染色体異常部位の増加が関連する傾向 (p=0.069, Unpaired Student's t-test) が見られた。【結論】髄膜腫では、これまでいわれていた 22q の欠失の他、1p の欠失も高頻度に認められ、この領域に髄膜腫の腫瘍化に関与する遺伝子の存在が示唆された。