ABSTRACT 2502(P15-3)
白血病におけるFLT3遺伝子異常の検討:
許 鳳1、滝 智彦1、楊 宏偉1、花田良ニ2、本郷輝明3、江口真理子4、鎌田七男4、大西宏明1、別所文雄1、林 泰秀1 (1東大・ 医・小児、2埼玉小児医セ、3浜松医大・小児、4広島大・原医研・分子細胞遺伝)
Abnormalities of FLT3 gene in leukemia: Feng XU1, Tomohiko TAKI1,Hong-Wei YANG1, Ryoji HANADA2,Teruaki HONGO3, Mariko EGUCHI4,Nanao KAMADA4,Hiroaki OHNISHI1,Fumio BESSHO1, Yasuhide HAYASHI1(1Dept.Pediatr.,Univ.Tokyo, 2Saitama Child. Med.Ctr., 3Dept.Pediatr.,Hamamatsu Med.Univ.,4Dept.Cancer Cytogent., Res.Inst.Rad.Biol.&Med.,Hiroshima Univ.)
【目的】FLT3は受容型チロシンキナーゼのクラスIIIに属する遺伝子で、造血幹細胞の増殖、分化に関与している。今回、我々は白血病細胞株と新鮮白血病(MDS、JCMLを含む)でFLT3遺伝子の検討を行ったので報告する。【対象と方法】対象は白血病細胞株82株、新鮮検体235例で、細胞株ではFLT3上にプライマーを設定し、RT-PCR法を行った。新鮮検体235例(AML113例、MDS30例、JCML17例、ALL75例うち乳児62例)ではgenomic PCR 法を行い、異常バンドはシークエンスを行った。【結果】RT-PCR法で検討した細胞株82株中48株でFLT3mRNAが検出され、AMOLの1細胞株で21bpのtandem duplicationをがみられた。Genomic PCR法で検討した小児白血病235例において、ALLでは75例中3例(4%)に異常産物がみられた。AMLでは113例中13例(11.5%)にtandem duplicationがみられ、M2とM4が比較的多かった。MDSとJCMLでは異常産物はみられなかった。【まとめと考案】成人に比べてFLT3遺伝子異常産物の小児白血病の頻度は少ないが、異常産物を認めた16例中13例は死亡しており、特にAMLでは13例全例が死亡しており、FLT3の異常症例は寛解導入が困難な例が多く、予後不良と思われた。