ABSTRACT 2504(P15-3)
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腎細胞癌における血液中癌細胞の検出:植村天受1,仲川嘉紀1,清水一宏1,2,趙 順規1,平尾佳彦1,岡島英五郎1,佐賀信介2,吉川和宏21奈良医大泌尿器科,2愛知医大第2病理)

Detection of circulating cancer cell in RCC patient.:Hirotsugu UEMURA1,Yoshinori NAKAGAWA1,Kazuhiro SHIMIZU1, Masaki CHO1,Yoshihiko HIRAO1,Eigoro OKAJIMA1, Shinsuke SAGA2,Kazuhiro YOSHIKAWA2(1Dept. Urol., Nara Med. Univ.,22nd Dept. Pathol., Aichi Med. Univ. )

 HeLA細胞より単離されたMN抗原はplasma membrane glycoproteinで、数種の悪性腫瘍に発現し、正常細胞にはほとんど発現していない。腎細胞癌(RCC)においては約90%と高頻度に発現しており、target moleculeとして有望である。今回我々は、RCCにおけるMN発現についてRT-PCR法を用いてgeneレベルでの発現について検討するとともに、患者血液中のMN陽性癌細胞の高感度検出法を考案し、臨床応用への可能性を検討した。【方法】対象は全摘手術により得られたRCC 147例で、RNA freeで得られた新鮮凍結標本よりtotal RNAを抽出し、種々のprimerを設定しRT-PCRを行った。なお、すべての標本はMN抗原を認識するMAbG250にて免疫組織染色した。また血液中癌細胞の検出では、患者血液10mlをヘパリン採血し、buffy coatよりtotal RNAを抽出しRT-PCRにてcDNAを合成、PCR後southern blotを行った。【結果】手術標本は133/147(91%)で発現しており免疫組織化学との結果より若干高かった。また、high stage, high grade, spindle type等のmalignant potentialの高い例では有意に発現が低かった。次に血液中癌細胞検出では、43例中28例(65.1%)にMNmRNAが検出され、病期との間に相関する傾向が認められた。なお健常人23例では約30%にMNmRNAが検出された。【結語】MN/CA9はRCCのtarget moleculeとしての有用性が示唆された。また、血液中RCC細胞の検出は、転移の存在などを早期に診断する手段となりうる可能性が示唆された。