ABSTRACT 2509(P15-3)
前立腺特異的膜抗原(PSM)mRNAを指標とした血中前立腺癌細胞の検出:井口東郎1、吉岡純一2、鷺山和幸3(1九州がんセ・臨研、2SRL、3原三信病院・泌)
Detection of prostatic cancer cells In the blood by RT-PCR using the prostatic specific membrane antigen-derived primer.: haruo IGUCHI1, jyunichi YOSHIOKA2, kazuyuki SAGIYAMA3(1Natl. Kyusyu Cancer Ctr., SRL, Hara-Sanshin Hosp.)
〔目的〕前立腺癌では前立腺特異抗原(PSA)がマーカーとして広く使われているが、近年、前立腺癌細胞(LNCaP)よりPSMが同定された。我々はPSM及びPSAをマーカーとして血中前立腺癌細胞の検出を行い、臨床的有用性について検討した。〔方法〕前立腺癌18例、対照として前立腺肥大症等の良性疾患16例及び健常者30名より採血を行い、RNAを抽出後、PSM及びPSAをIsraeliらの方法に準じたRT-PCRにて増幅し、アガロース電気泳動にてPCR産物を確認した。判定は3回RT-PCRを行い、2回以上バンドを認めれば陽性とした。〔結果〕前立腺癌におけるPSM及びPSAの陽性率はそれぞれ11/18(61%)及び2/18(11%)で、血清PSA値、臨床病期、Gleasone score及び遠隔転移との関連はみられなかった。一方、良性疾患ではPSMは6/16(37%)及びPSAは2/16(12%)で陽性であった。なお、健常者ではPSM及びPSA-mRNAは共に検出されなかった。〔考察〕血中前立腺癌細胞の検出にはPSAに比較してPSM-mRNAを指標とした方が検出頻度が高かった。この意義について、現時点では転移あるいは再発予知との関連は不明であり、今後の経過観察が必要である。