ABSTRACT 2557(P15-7)
IL-12遺伝子導入腫瘍ワクチンによる残存微小肝転移に対する抗腫瘍効果:藤 信明,山岸久一,上田祐二,藤原 斉,伊藤 剛,吉村哲規,岡 隆宏(京都府立医大・二外)
Antitumor effect of genetically IL-12-modified murine tumor vaccines against residual hepatic metastases : Nobuaki FUJI, Hisakazu YAMAGISHI, Yuji UEDA, Hitoshi FUJIWARA, Tsuyoshi ITO, Tetsunori YOSHIMURA, Takahiro OKA (Second Dept. of Surg., Kyoto Pref. Univ. of Med.)
【目的】外科における術後の残存微小転移の治療は重要な課題である。これまで我々は、マウス自然肝転移モデルを用い、IL-12遺伝子導入腫瘍で自然肝転移が抑制されることを報告してきた。今回、原発巣切除後の肝転移巣に対するIL-12遺伝子導入腫瘍による癌ワクチンの抗腫瘍効果について検討した。【方法】(1)C57BL/6マウスと、同系のM5076腫瘍を用いた。IL-12遺伝子導入はretroviral vectorを用いて行った(M5076/IL-12)。(2)はじめに、親腫瘍とM5076/IL-12の混合接種による親腫瘍の腫瘍原性の変化を検討した。また、自然肝転移モデルで同混合接種を施行し、生存率を評価した。(3)次に、親腫瘍106個の足蹠移植後14日目に担癌肢を切断する術後微小肝転移モデルでM5076/IL-12による癌ワクチンを施行し(IL-12群)、生存率を評価した。(4)担癌肢の切断後7日目に、脾細胞および肝リンパ球を採取し、Cr release法にて親腫瘍に対する細胞傷害活性、ELISAにて培養上清中のIFN- gamma産生量を検討し、FACSにより細胞表面のフェノタイプを解析した。【結果】(1)微小肝転移に対するM5076/IL-12による癌ワクチンで、生存率の改善を認めた(p<0.05)。(2)肝リンパ球では、IL-12群において細胞傷害活性の上昇、IFN-gamma産生量の増加およびCD3+NK1+(NKT)細胞の増加を認めたが、脾細胞では有意差を認めなかった。【考察】IL-12遺伝子導入腫瘍による癌ワクチンで、微小肝転移に対する治療効果を認めた。その機序として、肝局所での、NKT細胞の増加および抗腫瘍活性の増強が関与しているものと考えられた。