ABSTRACT 2558(P15-7)
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Apoptobody遺伝子導入によるヒトモノクローナル抗体特異的な癌細胞死の誘導:宮原順一、水谷友有子、青塚康幸 (萩原健康科学研)

Induction of human monoclonal antibody specific tumor cell death by transducing apoptobody gene: Jun-ichi MIYAHARA, Yuko MIZUTANI, Yasuyuki AOTSUKA (Hagiwara Institute of Health)

<目的>抗癌モノクローナル抗体を用いた癌治療において、投与抗体(Ab1)に対する抗イディオタイプ抗体(Ab2)や抗ー抗イディオタイプ抗体(Ab3)の誘導が、治療効果と密接に関連することが示唆されている。そこで、今回われわれは、癌抗原を認識するヒトモノクローナル抗体CLN-IgGの治療効果を高める目的で、癌抗原の内部イメージを有する抗イディオタイプ抗体Idio3とFas抗原との融合タンパク質(Apoptobody)をコードする遺伝子を構築し、その遺伝子を導入した細胞におけるCLN-IgG特異的なアポトーシス誘導の可能性について検討した。
<方法と結果>Idio3のL鎖およびH鎖の可変領域をlinkerでつないで作製した3scFv遺伝子の下流に、さらにFas抗原の膜貫通および細胞内領域を連結した遺伝子3scFv-Fasを作製した。この遺伝子をGSTとの融合蛋白として大腸菌で発現、精製したところ、SDS-PAGEで予想されるサイズのバンドとして確認でき、また、ELISAにより、CLN-IgGと結合活性を有していることが確認された。次に、3scFv-FasをelectroporationによりHeLa細胞に導入し、CLN-IgGを用いてFACSで検討したところ、apoptobodyが細胞表面に発現していることが明らかとなった。また、3scFv-FasとCAT遺伝子をHeLa細胞に導入し、24hr後にCLN-IgGを加え、さらに24hr後に細胞を回収してCAT assayを行ったところ、apoptobody遺伝子を導入したものは、しなかったものに比べて、CATの活性の減少がみられた。
<結論>Apoptobody遺伝子を導入し発現させた細胞で、CLN-IgGによる特異的な細胞死の誘導が確認できたことにより、この遺伝子による遺伝子治療の可能性が示唆された。