ABSTRACT 2559(P15-7)
 ポスターセッション一覧 トップ 


サイトカイン遺伝子導入とbcl-2遺伝子導入による相乗的抗腫瘍効果:岡田全司1、安部眞佐子1、友永弘子1、入田良子1、掘美弥子1、斎藤泉2、岩倉洋一郎3、西本宏史4、辻本賀英51九大・生医研・臨床遺伝学、2東大・医科研・遺伝子解析、3東大・医科研・動物実験、4塩野義中央研、5阪大・バイセ)

Synergistic anti-tumor effect by the transfection of cytokine genes and bcl-2 gene:Masaj OKADA1,MasakoABE1,HirokoTomonaga1, Ryoko NYUTA1,Miyako HORI1,Izumu SAITO2,Yoichiro IWAKURA3,Hirofumi NISHIMOTO4,Yoshihide TSUJIMOTO5,(1Clin.Genetic,Med.Inst.Bioreg.Kyushu Univ., 2Lab.Mol.Gene. Inst.Med.Sci,Tokyo Univ,3Exp.Ani.,Tokyo Univ,4Shionogi Inst., 5Biomed.Res.Center,OsakaUniv.)

[目的] 生体内移入リンパ球の生体内での短命が癌免疫療法に大きな障害となっている。T細胞長期生存機構も不明である。これらの問題を解明するために(bcl-2遺伝子+サイトカイン遺伝子)導入リンパ球を作製し、強いキラー活性を保持し長期間生存しうるT細胞を作製したので報告する。
[方法と結果] まず 、(bcl-2遺伝子+IL-6)遺伝子導入(Tg)マウスを作製した。このマウスの脾・胸腺・リンパ節T細胞は、in vitro 抗原刺激30日後においてもキラー活性を保持し長期生存を示した。さらに、in vivo においてもキラー活性を数ケ月以上保持した。adoptive transferにても、長期生存し、キラー活性を示した。さらに、(IL-6遺伝子+IL-6レセプター(R)遺伝子+gp130遺伝子+bcl-2遺伝子)導入T細胞は極めて強力なキラー活性を保持した。一方、(IL-7遺伝子+bcl-2遺伝子)Tgマウス及び(β-IFN遺伝子+bcl-2遺伝子)Tg マウスを作製し、同様の解析を行った。その結果、これらのdouble TgマウスT 細胞も、キラー活性を長期間保持しうることが明らかとなった。これらの遺伝子導入リンパ球は問題であった移入キラーリンパ球の癌患者生体内短命を克服し、画期的な遺伝子治療となることが示唆された。
(大阪大岸本忠三総長、実中研野村達次博士との共同研究)