ABSTRACT 2562(P15-7)
腹膜播種に対するadenovirus vectorを用いた養子免疫遺伝子治療の検討:中森幹人1、谷村 弘1、山上裕機1、岩橋 誠1、角田卓也1、濱田洋文2(1和歌山医大・2外、2癌研・癌化療セ・分子生物治療)
Adoptive imuunogene therapy using adenovirus vector for peritoneal dissemination:Mikihito NAKAMORI1, Hiroshi TANIMURA1, Hiroki YAMAUE1, Makoto IWAHASHI1, Takuya TSUNODA1, Hirofumi HAMADA2 (12nd dept. of Surgery, Wakayama Med. Sch., 2Dept. of Mol. Biother. Res., Cancer Chemother. Ctr., Jap. Fdn. Cancer Res.)
[目的]adenovirus vectorを用いた免疫遺伝子および養子免疫遺伝子治療の有効性を,マウス大腸癌腹膜播種モデルを用いて検討した.
[方法]BALB/c mouse 由来 cachexia 誘導大腸癌株CT26を用いた腹膜播種モデルに,サイトカイン発現 adenovirus vector (AxmIL-2, AxmGM-CSF, AxmIFN-γ, AxmIL-18)を腹腔内投与し,最適投与量,治療効果の評価と,皮下腫瘍から誘導した腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) にサイトカイン遺伝子を直接導入し,腹腔に移入する養子免疫遺伝子治療の治療効果,副作用を検討した.
[結果]サイトカイン発現adenovirus vectorの腹腔内投与により,生存期間に延長傾向を示したが,vector量依存性に治療効果を得られず,lacZ発現adenovirus vectorを用いた検討で,正常細胞にも遺伝子が導入されていた.サイトカイン遺伝子導入TILはcontrol群に比し,移入細胞数に依存して生存期間の延長を認め,副作用は認められなかった.
[結論]腹膜播種に対し,サイトカイン遺伝子発現adenovirus vectorの腹腔内投与は治療効果を期待できるが,毒性が問題になる.その反面,遺伝子導入腫瘍浸潤リンパ球を用いた養子免疫遺伝子治療は副作用を惹起させずに治療効果を期待できる.