ABSTRACT 2588(P17-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


飲酒と大腸がんに関する疫学的研究
村田 紀1、田川雅敏2、渡辺 敏3、木村秀樹4(千葉がんセ、1疫学、2病理、3消外、4呼外)

Epidemiologic study on alcohol drinking habit and colorectal cancer : Motoi MURATA1, Masatoshi TAGAWA2, Satoshi WATANABE3 , Hideki KIMURA4 (1Div. Epidemiol., 2Div. Pathol., 3Div. Gastroenterol. Surg., 4Dvi. Thoracic Dis., Chiba Cancer Center)

【目的】飲酒習慣と大腸がんとの関係を知るために、生活習慣に関するアンケート調査とアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)および葉酸代謝酵素(MTHFR)の多型検査を併用した症例対照研究を行った。【対象と方法】症例群は大腸がん患者396人(結腸247、直腸149)で、このうち210例(結腸124、直腸86)で遺伝子型検査を実施した。対照群は非がん患者と人間ドック受診者併せて993人で、そのうち遺伝子型検査は263例で実施した。調査項目は飲酒歴、喫煙歴、食品群別摂取頻度、食事態度、生活環境等に関するものである。 【結果と考察】単変量解析の結果、結腸直腸がんともに多量飲酒、食事が不規則、急いで食べる、腹一杯食べる、肉をよく食べる等が有意な関連を示し、また牛乳を飲まないひとは直腸がんのリスクが高かった。アンケート調査結果のみを用いた多変量解析の結果、結腸直腸がんのどちらも、多量飲酒、食事不規則、腹一杯食べる、肉をよく食べるなどが高危険、また直腸がんのみで魚を良く食べる、牛乳をよく飲むが予防効果を示した。また男性飲酒者において、結腸がん群でALDH2の活性の低い1/2型ヘテロ個体が多く、さらにその中でMTHFRの活性の低いV/V型ホモ個体が有意に少なかった。遺伝的背景によって飲酒のリスクが異なることがわかった。