ABSTRACT 2593(P17-1)
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集団レベルのデータに対する新しい解析法の評価−厚生省コホート研究のベースラインデータを用いて−:山本精一郎1,祖父江友孝1,津金昌一郎2,佐々木敏2,渡邊昌3 (1国立がんセ・研・がん情報, 2臨床疫学, 3東京農大・公衆栄養)

Evaluation of new analytic methods for aggregate data study -Application to JPHC study- : Seiichiro YAMAMOTO1, Tomotaka SOBUE1, Shoichiro TSUGANE2, Satoshi SASAKI2, Shaw WATANABE3 (1Cancer Information and Epidemiol. Div., 2Epidemiol. and Biostatistics Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 3Dept. Nutrition and Epidemiol., Tokyo Univ. of Agriculture)

〔目的〕厚生省コホート研究を例に取り、Prenticeらによって提案された集団レベルデータの解析法(aggregate data analysis)の性質を調べる。例として喫煙と肺がんの関連、初潮年齢と乳がんの関連を調べる。
〔方法〕1990年より行われている厚生省コホート研究のベースラインデータから得られる11保健所管内の喫煙指数、初潮年齢といった個人レベルの情報と、人口動態統計から得られる肺がん・乳がんの死亡率などの集団レベルの情報を用い、上記手法を適用して、個人レベルの曝露効果の推定ができるか調べる。
〔結果・考察〕昨年度報告したように、ecological studyでは、地域間のバラツキの大きい初潮年齢と乳がん死亡率の間には相関関係が見られ、地域間のバラツキの小さい喫煙指数と肺がん死亡率の間には相関が見られない。本報告の解析法により、喫煙指数100あたりの肺がん死亡(男性)に対するハザード比=1.02(95%信頼区間0.83-1.26)、初潮年齢が1歳早まるあたりの乳がん死亡に対するハザード比=1.09(95%信頼区間0.85-1.40)を得た。初潮年齢は文献値に匹敵するものであったが、喫煙指数はそうではなかった。本解析法を適用することによって、個人レベルのハザード比が推定できる可能性が示されたと同時に、ecological studyと同様の限界も示唆された。