ABSTRACT 2595(P17-2)
乳がん患者における第2がん罹患リスク−補助療法との関連−:田中英夫1,津熊秀明1,小山博記2,大島 明1(1大阪成人セ・調査部、2大阪成人セ・病)
Second primary cancers following breast cancer patients in Japan: Hideo TANAKA1, Hideaki TSUKUMA1, Hiroki KOYAMA2, Akira OSHIMA1 (1Dept. of Cancer Control & Stat, 2Hosp, Osaka Medical Ctr. for Cancer & Cardiovascular Dis.)
〔目的〕欧米とは異なったがん罹患パターンを示すわが国での乳がん患者における第2がんリスクを、特に補助療法の影響に注目し、評価する。
〔方法〕1970年〜94年に当センターで新たに乳がんと診断された、20〜74歳の女性2824人を調査対象とした。これを大阪府がん登録資料(OCR)と照合し、1995年末日までの第2がん罹患の有無を調べた。OCRから得られた部位別、5歳年齢階級別、5暦年別罹患率を用いて第2がん期待罹患数(E)を計算し、実測数(O)と比較した(O/E比)。
〔結果と考察〕平均8.4年観察し(24,337人年)、117人が対側乳がんを除く第2がんに罹患していた(O/E=1.3,95%CI=1.1-1.5)。罹患リスクが有意に高かった第2がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)(O/E=3.4,p<0.05,O=7)と甲状腺(O/E=3.6,p<0.01,O=7)で、NHLのリスクは化学療法施行群で特に高くなった(O/E=5.1,p<0.05,O=5)。子宮体がんでは有意差はないもののO/E=1.9,95%CI=0.5-4.8,O=4と高くなる傾向がみられた。この4例中タモキシフェンの投与を受けたのは1例のみであった。乳がん患者に投与された化学療法と第2がん罹患との関連性について、さらに詳しく調べる必要がある。