ABSTRACT 2596(P17-2)
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糖尿病既往歴と肝癌:柴田 彰1、福田勝洋1 ( 1久留米大・医・公衛)

Past history of diabetes mellitus and hepatocellular carcinoma : Akira SHIBATA1, Katsuhiro FUKUDA1 ( 1Dept. of Public Health, Kurume Univ. School of Med.)

[目的] これまでの研究でHBV、HCV、飲酒、喫煙等が肝癌のリスク要因として示唆されているが、近年糖尿病と肝癌を含めた肝疾患との関連を示唆する報告が見られる。そこで今回、症例・対照研究の手法を用いて糖尿病既往歴と肝癌との間の関連について検討した。[資料及び方法]本研究の対象は1986年4月から1997年11月迄に面接及びデータ入力を終えた男の肝癌症例及び対照386ペアである。肝癌症例は久留米大学第二内科入院患者で、過去1年以内に確定診断がついた年齢40歳〜74歳で福岡県又は佐賀県在住の者である。対照は慢性肝疾患既往歴のない者で肝癌症例と性・年齢・居住地をマッチさせ1名を選択した。既往歴、輸血歴、飲酒・喫煙歴等のライフスタイルに関しては、一人の面接員が質問票を用いた面接調査を行い、肝炎ウイルスマーカーに関しては診療録から情報を得た。解析にはconditional logistic regression modelを用い、糖尿病既往歴の肝癌発現への影響をオッズ比(OR)及び95%信頼区間(95%CI)により評価した。[結果] 肝癌症例及び対照の平均年齢は共に59.7歳で、糖尿病既往歴「あり」はそれぞれ105名(27.2%)、65名(16.8%)であった。ORは1.83(95%CI:1.29-2.61)と肝癌に対する糖尿病既往歴の関与が示唆された。またBMI、輸血・喫煙・飲酒歴、B型肝炎ウイルス、両親の肝疾患既往歴の影響を除いてもOR=1.77(95%CI:1.17-2.67)で、単変量解析と同様の肝癌リスクが得られたことは、これらの要因では説明できない糖尿病既往歴独自の関与が示唆された。