ABSTRACT 2598(P17-2)
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慢性C型肝炎患者における悪性リンパ腫発症危険度:大澤政彦、新宮教久2、三輪秀明2、津熊秀明3、青笹克之21市立池田・病理、2阪大・医・病理病態、3大阪成人セ・調査部)

Risk of malignant lymphoma in patients with hepatitis C virus infection: Masahiko Ohsawa1, Norihisa Shingu2, Hideaki Miwa2, Hideaki Tsukuma 3, Katsuyuki Aozasa2(1Dept. of Pathol. Ikeda Municipal Hosp., 2Dept. of Pathol. Osaka Univ., Med. Sch., 3Dept of Cancer Control, Osaka Med. Ctr. for Cancer and Cardiovasc. Dis.)

【目的】Hepatitis C virus(HCV)は慢性肝疾患のみならず、血液疾患の発症に関与していることが報告されている。 non-Hodgkinユs lymphoma(NHL)患者の血清中のHCV抗体陽性率が健常人のそれに比して高率であり、HCVがNHL発症に関与している可能性が示唆されている。しかし、これまでの報告の多くは臨床病理学的なもののみで、疫学的にHCV慢性肝疾患患者におけるNHL発症危険度が正常健常人のそれより高率かどうかを検討した報告はない。そこで、大阪地区の総合病院3施設に通院治療を受けている患者を対象とし人年法にて検討した。
【方法】1957年から97年の間に受診し慢性C型肝炎、肝硬変またはキャリアーと診断された患者2162例を追跡し悪性リンパ腫発症の有無を検討した。初診時年齢18-95(中央値58)歳、性比(男:女)1328:834であった。対照として年齢、性、生年をマッチさせた大阪がん登録症例から一般健常人における悪性リンパ腫発症期待値を計算し、O/E比を求めた。
【結果】観察人年は12,404.5人年、観察期間0.5-40.4(平均5.74)年であった。これらの症例の中から4例の悪性リンパ腫の発症を認め組織型はいずれもB細胞性NHLであった。一般健常人におけるNHL発症期待値は1.90でありO/E比(95%信頼区間)は2.10(0.57-5.38)となった。
【考察】慢性C型肝炎患者には健常人に比してややNHL発症危険度が高い傾向にあるがHCVが直接発症に関与しているのでなく他の要因に補助的に関与している可能性が示唆された。