ABSTRACT 2599(P17-2)
腎移植患者並びに透析患者に発生した腎癌の臨床病理学的及びp53遺伝子変異の検討: 星田義彦1,2 , 中西啓文1, 申勝1, 佐藤孝臣3, 花井淳2, 青笹克之1 (1阪大・医・病理病態, 2市立堺病院・病理, 3仙台社保病院・外科)
Renal cancer developed in patients receiving dialysis and renal transplantation: Analysis of clinico-pathological features and p53 mutation: Yoshihiko HOSHIDA1,2, Norifumi NAKANISHI1, Masaru SHIN1, Takaomi SATOH3, Jun HANAI2, Katuyuki AOZASA1. (1Dept of Pathol, Osaka Univ Medical School, 2Dept of Surgery, Sendai Shakai Hoken Hospital, 3Dept of Pathol, Sakai Municipal Hospital)
腎移植を受けた患者は一般人に比べ高頻度に悪性腫瘍が発生する。 我々は本邦の腎移植患者に特に腎癌の発生率が高いことを報告した (Int J Cancer, 1997)。 その原因としては移植前の人工透析, 免疫抑制剤の投与による免疫抑制状態等の関与が考えられている。 今回我々は腎移植患者に発生した腎癌(移植腎癌)と透析患者に発生した腎癌(透析腎癌)を臨床病理学的に検討し、あわせてPCR-SSCP法にてp53 geneのmutationを解析したので報告する。【対象】移植腎癌22例, 透析腎癌39例, 散発性腎癌157例を比較検討した。 移植腎癌は年齢28-62 (median 41)才, 男女比は20:2, 移植時から悪性腫瘍発生までの期間は8-191ケ月(median 50), 5生率は76.9%であった。【結果】移植腎癌は透析腎癌に比べ腫瘍発生年齢が若く, 臨床病期III期以上, 予後が悪く, 摘出腎重量が軽かった。 又,CyA投与患者では非投与患者に比べ腫瘍発症までの期間が短かかった。 移植腎癌では乳頭状腎癌の割合が透析腎癌 (61.5%) と散発性腎癌 (17.8%) の中間の値 (36.4%) を示した。 一方、p53 mutaion は移植後腎癌及び透析腎癌ではそれぞれ0%, 5.6%と低率で、腫瘍発生においてp53遺伝子の関与が低いことがわかった。