ABSTRACT 2601(P17-3)
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血清セレン値と癌のリスク:氏家重紀,菊池寛昭(宮城がんセ・薬物療法)

The Relationship between serum Selenium contents and the risk of cancer : Shigeki UJIIE, Hiroaki KIKUCHI (Dept. of Cancer Pharmacotherapy, Miyagi Cancer Center)

 血清セレン(Se)値と癌の関連を検討する目的で5,019例(癌患者2,707、非癌患者2,238、正常人74)の血清Se値を測定し疫学的に検討した。また非癌群を4年間追跡し、その間新たに癌と診断された患者の診断前の血清Se値を非癌群のそれと比較し、血清Se値と癌のリスクについて検討した。
[結果] 1)癌、非癌患者の血清Se値を男女差、年齢差を加味してGeneral Linear Modelを用いて比較すると、それぞれのadjusted meanは癌群で有意に低値であった(p<0.01)。 2)血清Se値別にみた癌、非癌患者数の%の比はSe値が低いほど癌の割合が多くなる傾向が認められた。 3)患者を血清Se値で120ppb以上、120〜100ppb、100ppb以下の三群に分けOdds比を算出した。120ppb以上の群をreference categoryとすると100ppb以下の群のOdds比は2.07となり、低Se群の癌のリスクの高さが示唆された。 4)2,238人の非癌群を4年間追跡して、その間新たに癌と診断された35人の癌診断前の血清Se値の平均は非癌群の平均値に比し低値であった。このことから、血清Seの低値が癌のリスクを高めている可能性が示唆された。