ABSTRACT 2602(P17-3)
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コホート集団で観察されたNK細胞の発がん防御と他の免疫マーカーの相互作用:今井一枝1,菅 謙司2,中地 敬11埼玉がんセ・研、2佐賀医大・輸血)

Cancer-defense of NK cells interacting with other immunological markers in a prospective cohort study: Kazue IMAI1, Kenji SUGA2, Kei NAKACHI1 (1Saitama Cancer Center Res. Inst., 2Saga Medical Univ.)

地域一般住民3,625人を対象とした11年間のコホート研究により、NK細胞活性が発がんと関連することを見出し、昨年の本学会で発表した。すなわち、NK細胞活性を高・中・低の3群に分けると、NK細胞活性の低い群に比べ、活性が中程度あるいは高い群の発がんリスクが著しく減少した。このことは、NK細胞が発がんに対し、免疫監視機構による防御役として作用していることを示す。本コホート研究の基礎調査では、NK細胞活性だけでなく免疫関連マーカーとしてT細胞サブセット(CD4およびCD8陽性細胞)およびPHAによるリンパ球幼若化反応を測定した。そこで、これらの免疫マーカーについても、発がんとの関連を追跡調査結果に基づき検討した。これらのマーカーは、発がんと有意な関連は認められなかった。次に、NK細胞活性と組み合わせて発がんリスクを検討した。すなわち、NK細胞活性が低くかつCD4陽性T細胞の割合も低い群は、どちらも高い群に比べ相対危険1.44 (95%CI, 0.79-2.64)(男)、2.53 (1.22-5.27)(女)と、NK細胞活性単独の場合より大きなリスクの違いを示した。この結果は、NKあるいはNKT細胞による発がん防御に、CD4陽性T細胞も関与していることを示唆する。