ABSTRACT 2607(P17-3)
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肺癌発生要因の検討(1)年齢要因について:枡崎拓也、井上勝一(北大院・ 地球環境科学・環境情報医学)、高岡和夫、西村昭男(日鋼記念病院)

Epidemiological evaluation of lung cancer (1) Aging: Takuya MASUZAKI, Shoichi INOUE (Dep. of Environ. Med. and Informatics, Grad. Sch. of Environ. Earth Sci., Hokkaido Univ.), Kazuo TAKAOKA, Akio NISHIMURA (Nikko Memorial Hosp.)

肺癌の原因として喫煙や大気汚染などが挙げられているが、これらのみで最近の急速な肺癌死亡率の増加を説明することは困難である。そこで、年齢要因について検討した。1984年から1997年までに室蘭市の日鋼記念病院で肺癌と診断された660人を調査し、統計学的に解析した。1)年齢別累積肺癌患者数は工業都市の室蘭と非工業都市の登別で差はなく、55歳から直線的増加を示した。2)この傾向は、性、喫煙歴、病期についても同様で、男女とも、また喫煙の有無にも関係なく年齢別累積肺癌患者数は55歳から直線的増加を示した。3)しかし、組織型別に見ると、腺癌と扁平上皮癌との間ではその傾向は異なり、腺癌の年齢別累積肺癌患者数は二直線で構成されていた(40-55歳:y = 1.11x - 44.46、55歳以上:y = 3.20x - 161.88)。肺癌の発生要因に年齢が深く関わっており、喫煙等は発生頻度を高めるが発生時期には関係しない。腺癌には若年肺癌(55歳以下)が存在し、未知の要因によるものと推定された。