ABSTRACT 2608(P17-3)
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大阪地区におけるHodgkin病の動向 (1964 -1995):新宮教久1, 橋本道子2, 大澤政彦3,, 中塚伸一1, 青笹克之(1阪大病理病態, 2東大阪病院病理, 3,池田市民病院病理 )

Hodgkin's disease in Osaka, Japan (1964 -1995): Norihisa SHINGU1, Michiko HASHIMOTO2, Masahiko OHSAWA3,, Shin-ichi NAKATSUKA1, Katsuyuki AOZASA1 ( Dept of Pathology, 1Osaka Univ Med Sch, 2Higasi Osaka Hosp, 3,Ikeda City Hosp.)

(目的) Hodgkin病(HD)の発生頻度は欧米人に高く、日本人に低い。本邦において、近年胃癌が減少傾向にあり、肺癌、大腸癌、前立腺癌等は増加傾向にあることから、癌の発生パターンは欧米化しつつあると考えられる。今回我々はHDにおいて、欧米のごとくHDの発生頻度が増加しているかどうかを検討し、さらにEpstein-Barr virus(EBV)との関係を明らかにするため、1964〜85年と1986〜95年に分け、結果を比較検討した。(方法) 1986〜95年の間に、大阪府下の17施設に於いてリンパ腫と診断された1453例についてHE標本を再作成した。診断可能であった1037例のうちHDと診断した60例についてRye分類に従って再診断を行った。またPCR法、ISH法を用いて組織型別、性別、年令別のEBV陽性率を調べ、1964〜85年の結果と比較した。(結果) HDは全リンパ腫中60例(5.8 %)であり、以前の我々の報告(1964〜85年の頻度は10.2 %)より更に減少していた。6例を除く54例がリンパ節原発であり、組織型ではNS, LDの発生頻度の減少、MCの増加と、MC, NSの発生年令の低下を認めた。また年令分布は、20才代、60才代をピークとする2峰性の欧米パターンへの変化を認めた。一方EBV陽性率はMC, 男性, 40才以上の症例で高く、この傾向は1964〜85年の結果と同様であった。(考案) 欧米では1970年代以降、HDの年令別発生率が若年層、高齢者層に多い2峰性パターンから、若年層をピークとするパターンへ変化しつつある。これは高齢のMC患者の減少と若年のNS患者の増加が影響していると考えられる。今回の我々の検討ではHDの発生頻度の減少に伴い、若年層のMC,の増加を認め、亜型は1970年頃の欧米のパターンに近似しつつあることが示された。尚HDの発生頻度の減少は洋の東西を問わず見られる。またEBVの陽性率には変化が見られないことから、HDの発生頻度の減少、2峰性の年令別発生パターンへの変化とEBVとの関連性は少ないものと考えられた。