ABSTRACT 2611(P18-1)
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遺伝子疾患データベースMutationViewの開発:蓑島伸生, 清水信義(慶大・医・分子生物)

MutationView - a Database System for Mutations in Human Disease: Shinsei MINOSHIMA, Nobuyoshi SHIMIZU (Dept. of Mol. Biol., Keio Univ. Sch. Med.)

 癌や遺伝病等の遺伝子疾患は約1,400種が染色体上にマップされており、そのうち約600種類について原因遺伝子が同定されている。他の遺伝子疾患についても、進行中のゲノム解析研究によって原因遺伝子の追究が進められている。その中にはLOHや染色体異常に端を発して発見された癌抑制遺伝子など癌の生物学や遺伝子診療学の分野に直結する重要なものが多く含まれている。疾患における遺伝子変異は、現状では個々の研究者が独立に様々な形式およびソフトウェアを用いて蓄積している。我々は遺伝子疾患の分子遺伝学的、医学的な知見を体系的にデータベース化して、腫瘍学、遺伝学およびDNA診断や遺伝子治療を目指すゲノム医学に利用するためのソフトウェアMutationViewを開発した。現バージョンの主な特長を以下に記す。(1)染色体のイディオグラムを図示し、疾患(遺伝子)のマップを一覧表示する。それらのOMIM及びGDBの情報も表示できる。(2)人体の模式図上に各臓器で起こる疾患名を配置し表示できる。(3)指定した遺伝子に関して、横軸を塩基数として構造を表示し、突然変異の種類と位置を示す。横軸を拡大して塩基配列を表示することもできる。縦軸には、症例数によるヒストグラム、変異のタイプや症状など様々な項目についての分類が選択できる。(4)塩基配列を正常と変異で比較表示し、変異部位近傍の制限酵素認識配列の変化を明示する。(5)新たな突然変異の入力は極めて容易であり、既存データに含めて利用できる。(6)本システムを共用することによって個別の研究室で集積されている種々の疾患データをインターネット経由で相互利用できる。現在のMutationViewでは、癌抑制遺伝子TP53、自己抗原病APECED、眼科疾患遺伝子、フェニルケトン尿症などの変異データを集積している。学会当日はコンピュータデモンストレーションを行なう予定である。