ABSTRACT 1(1-1)
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Tamoxifen投与患者の白血球に存在するDNA付加体の構造:梅本 淳1,渋谷真也2,駒木幹正1,諏訪正人3,林 春興1,三村誠二1,門田康正11徳島大・医・2外,2ニューヨーク州立大・薬理学,3日本化薬(株)創薬本部)

Structure of tamoxifen-DNA adduct in leucocytes obtained from breast cancer patients : Atsushi UMEMOTO1, Shinya SHIBUTANI2, Masato SUWA3, Kansei KOMAKI1, Chun-xing LIN1, Seiji MIMURA1, and Yasumasa MONDEN1 (1Second Dept. of Surgery, Univ. of Tokushima, 2Dept. of Pharmacological Sciences, State Univ. of New York at Stony Brook, USA, 3R. & D. Division, Nippon Kayaku, Co., Ltd.)

【目的】抗エストロゲン剤、tamoxifen (TAM)が投与された乳癌患者に子宮内膜癌の発生率が高くなることが知られており、その原因のひとつとしてDNA付加体形成が考えられる。今回、TAMが投与されたラットの肝臓や患者の白血球からTAM-DNA付加体が検出されるか否かを、化学合成した活性化体、α-sulfate TAMとdGpを反応させ得られたDNA付加体標品と比較し検討した。【方法と結果】雌F344ラット胃内にTAMを45 mg/kg/day、7日間投与した後、肝を摘出。また、TAMを20 mg/dayで1カ月以上服用しているボランティアの患者から白血球を採取。各々DNAを調製し、32P-ポストラベルした後、2種類のカラムを用いたHPLCによりTAM-DNA付加体を同定した。測定の結果、ラット肝DNAにおいてふたつのTAM-DNA付加体が認められ、1番目はdG-N2-TAM (trans form)であった。2番目はdG-N2-TAM (trans form)の酸化型と考えられ、さらに検討中である。30名のTAM投与患者の分析では11名において非投与患者6名には認められないDNA付加体が1種類、1.83±1.08 付加体/109ヌクレオチドのレベルで検出された。患者から検出されたDNA付加体はラットの2番目のDNA付加体と一致していた。【考察】今回、我々は、TAM-DNA付加体がヒトにおいて検出できること、それはラットにおいても存在することを明らかにした。