ABSTRACT 5(1-1)
モノクローナル抗体 N45.1 を使用した 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine 測定法の応用:豊國伸哉1,岩佐葉子1,近藤昌平1,田中智之1,日合 弘1,越智宏倫2,山田 智3,森 真人3,Hannu Alho4(1京大院・医・病態生物医学、2日本老化制御研,3日本油脂,4National Public Health Institute, Finland)
Application of monoclonal antibody N45.1 for urinary 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine determination and immuno-cytochemistry: Shinya TOYOKUNI1, Yoko IWASA1, Shohei KONDO1, Hiroshi HIAI1, Hirotomo OCHI2, Satoshi YAMADA3, Masahito MORI3, Hannu ALHO4 (1Dept. Pathol. Biol. Dis., Grad. Sch. Med., Kyoto Univ., 2Jpn. Inst. Ctr. Aging, 3NOF Corp., 4Natl. Public Health Inst., Finland)
【目的】活性酸素に起因する酸化ストレスは発癌、放射線障害、再潅流傷害など種々の病態に関与するとされ、その正確なモニターは急務である。8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG) は活性酸素により生成する代表的DNA修飾塩基であり、細胞内のDNAあるいはヌクレオチドプールで生じるとされる。90年代に入り複数の研究室より8-OHdGが尿中に排泄され、しかもその量が病態に応じて増減していることが報告されたが、その測定法の複雑さからヒトの諸疾患でデータを収集することは容易ではなかった。今回、私たちは8-OHdGに特異的なモノクローナル抗体N45.1を使用したcompetitive ELISA法により、フィンランドの肺癌患者の治療前後の尿(37例、主として扁平上皮癌・小細胞癌、コントロール52例)の尿について評価を行った。また、同抗体を鉄ニトリロ三酢酸投与ラット腎の捺印細胞診への応用することを試みた。【結果】1.治療前の小細胞癌の患者の尿は高値を呈し、化学療法有効群では治療後有意な低下を認めた。無効群では反対に増加傾向を認めた。2.antigen retrieval により細胞診へも応用可能であった。【考察】尿8-OHdGは酸化ストレスの関与する種々の病態の評価に有用である。本抗体は細胞診においても有用である。